10対0の事故の示談金相場【むちうち編】1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月の通院の場合
最終更新日:2024年11月19日/投稿日:2022年8月6日/執筆者弁護士豊田 友矢
目次
10対0の事故でむちうちになった場合の示談金
10対0の事故でむちうちになった場合には、以下のような項目を請求できます。被害者に過失がないので、過失分を控除する必要はありません。
請求できる項目【むちうち編】 | 内容 |
治療費 | 整形外科の治療費、薬局の薬代、整骨院の施術費用など |
通院交通費 | 整形外科等へ通院する際の交通費、電車代・バス代・ガソリン代など |
休業損害(②) | 仕事ができずに休んだ場合の補償、家族のための家事ができないときの補償 |
通院慰謝料(①) | 怪我をして感じた苦痛に対する補償 |
後遺障害逸失利益(④) | 後遺症により下がる収入分の補償 |
後遺障害慰謝料(③) | 後遺症により感じる苦痛に対する補償 |
治療費は病院へ払われて被害者の手元に入るものではないですし、交通費は実費なので金額が問題になることも少ないでしょう。
被害者の方が気になるのは、このうち①通院慰謝料、②休業損害、③後遺障害慰謝料、④後遺障害逸失利益の4つだと思います。
むちうちの慰謝料の相場
むちうちの治療期間としては、症状の軽いもので2週間程度、症状の重いものでは6ヶ月程度通院が必要になることもありケースバイケースです。
また、慰謝料の金額は、弁護士を入れるかどうかによっても変わってきます。
弁護士を入れない場合には、保険会社から自賠責基準で慰謝料が提示されるのが通常です。この場合、通院日数×2か通院総期間のどちらか少ない日数に、4,300円をかけた金額が算定されます。
弁護士に依頼した場合の慰謝料は、通院期間に応じて、下記の表の通りになります。ただし、弁護士基準は裁判での相場なので、示談交渉のみで解決する場合には、以下の金額より若干減額されることがあります。
むちうちの通院期間 | 弁護士基準慰謝料(別表Ⅱ) |
1ヶ月 | 190,000円 |
2ヶ月 | 360,000円 |
3ヶ月 | 530,000円 |
4ヶ月 | 670,000円 |
5ヶ月 | 790,000円 |
6ヶ月 | 890,000円 |
7ヶ月 | 970,000円 |
むちうちの休業損害の相場
サラリーマンの場合
むちうちの怪我を負い、首や腰に痛みなどの症状があっても、仕事は休まないという方は多いです。仕事を休まなければ、無理して仕事をしたとしても、休業損害は請求できません。
症状のひどい急性期にのみ有休を使って仕事を休む場合もあります。この場合は、有休を利用して給料が出ていても、休業損害を請求できます。
症状が重く、仕事も肉体労働である場合などは、仕事をすると症状が悪化したり、場合によっては危険なこともあるため、長期間休業することもあります。この場合は、事故と因果関係が認められる全期間について、休業損害を請求できます。
休業損害の金額は、事故前の3ヶ月分の収入から1日当たりの収入額を算出して、それを休業日数にかけて算出します。
主婦(主夫)の場合
むちうちの症状による影響で家事労働に支障が出ることもあり、その場合、主婦としての休業損害を請求できます。
この場合、休業損害の金額は、女性の1日当たりの平均賃金を家事労働の金銭的評価として、家事ができなくなった割合と期間をかけて算出することが多いです。
14級の後遺障害が認定された場合
むちうちで後遺障害が認められる人の割合はそこまで多くありませんが、もし認められれば、示談金の額は数倍になることは珍しくありません。
これは後遺障害が認められた場合には、まず後遺障害慰謝料という項目が追加されるからです。
後遺障害慰謝料とは?
むちうちで14級が認定された場合の、後遺障害慰謝料の相場は次の通りです。
後遺障害等級 | 自賠責基準慰謝料 | 弁護士基準慰謝料 |
14級 | 320,000円 | 1,100,000円 |
なお、むちうちでは12級が認定されるケースもありますが、割合的に見ればレアケースなので、今回は省略します。
後遺障害逸失利益とは?
むちうちで後遺障害14級が認定された場合、後遺症の影響で将来の収入が下がると予想される金額を後遺障害逸失利益として慰謝料以外に獲得することができます。
この逸失利益は、将来5年間、5%収入が下がるものとして認められるのが通常です。
この場合の金額は、事故前年度の年収×5%×4.5797(5年間のライプニッツ係数)として計算されます。つまり、「年収の2割強」程度が、後遺障害逸失利益の相場になります。
むちうちの示談金の相場|通院1~6ヶ月
むちうちの示談金のおおまかな相場観を通院期間別に見てみましょう。
通院2週間の場合(弁護士依頼あり)
- 通院慰謝料:8~9万円
- 休業損害:0円~数万円(専業主婦なら0~5万円程度)
- 示談金の相場:10万円程度
通院1ヶ月の場合(弁護士依頼あり)
- 通院慰謝料:17~19万円
- 休業損害:0円~数万円(専業主婦なら0~10万円程度)
- 示談金の相場:20万円程度
通院3ヶ月の場合(弁護士依頼あり)
- 通院慰謝料:47~53万円
- 休業損害:0円~10万円(専業主婦なら0~20万円程度)
- 示談金の相場:50万円~
通院6ヶ月の場合(弁護士依頼あり)
治癒または後遺障害非該当の場合
- 通院慰謝料:80~89万円
- 休業損害:0円~20万円(専業主婦なら0~40万円程度)
- 示談金の相場:80~100万円程度
後遺障害14級が認定された場合
- 通院慰謝料:80~90万円
- 休業損害:0円~30万円(専業主婦なら30~100万円程度)
- 後遺障害慰謝料:99~110万円
- 後遺障害逸失利益:年収の2割程度
- 示談金の相場:200万円~400万円程度
弁護士に依頼しない場合
弁護士に依頼しない場合は自賠責基準で示談金が算定されるのが通常です。そして、自賠責基準による示談金の相場は、次の通りです。
- 治癒・後遺障害なしの場合:1万~70万円程度
- 14級認定の場合:120万~150万程度
となります。
注意点:相場はあくまでも相場にすぎない
これまで見てきた示談金の相場は、むちうちの典型的な通院期間や、休業状況、平均収入から大きく逸脱しない年収の場合で算定しています。
同じむちうち症状であっても、症状の程度はピンキリですし、休業の可能性も労働内容によって大きく変わってきます。
そのため、個別の事案では、これまで見てきた相場から大きく外れる事案も存在します。
ですので、相場はあくまで参考にするのにとどめて、具体的な金額については、弁護士にご相談ください。