事故の代車・レンタカー費用は相手に請求可能|10対0や9対1の過失割合の場合は?

代車・レンタカー費用は相手に請求可能

事故後に修理や買替えで事故車両を使えない間は、レンタカーや代車を使用することが多いです。

この代車費用が有料の場合、自己負担なのででしょうか。それとも代車費用は事故の相手に請求できるのでしょうか。
請求できる場合、代車の使用が認められる期間はどれくらいでしょうか。また、過失割合が10対0の場合や、9対1の場合の代車費用はどうなるのでしょうか。

  • 代車・レンタカー費用を相手に請求するための要件
  • 代車費用の相場|高級外車の代車でも国産車が限度
  • 認められる代車の期間|判例だと2週間まで?
  • 過失割合10対0の事故でも代車利用で揉めることも
  • 過失割合9対1の事故だと代車費用は自己負担?
  • 過失割合でもめると代車費用が自己負担に?

 

代車・レンタカー費用を相手に請求するための要件

代車・レンタカー費用を事故相手に請求するには、以下の3つの要件を全て満たす必要があります。

  1. 代車を使用したこと
  2. 代車料を払ったこと
  3. 代車使用の必要性があったこと

以下で、それぞれの要件が問題になるケースについて見ていきます。

代車を使用しないでその分のお金をもらうのはダメ

代車費用請求の1つ目の要件として、代車を実際に使用したことが必要です。

ですから、代車を実際には使用していないにもかかわらず、本来は代車が必要だったからその分のお金を払ってほしいと請求しても、基本的に認められることはありません。このような請求は、仮定的代車費用の請求といいますが、裁判で認められることはまずありません。示談交渉では、解決のために認められるケースもなくはないですが、法的には無理です。

実は、修理費は修理しないでお金だけもらうことができるのですが(▶交通事故の修理費は修理しないでももらえる?)、代車費用はダメなのです。

ただし、かなり例外的な事案ですが、将来修理を行うことと、その際に代車費用がかかることが確実であるなどの理由がある場合には、代車を利用していない段階でも将来の代車費用が認められた裁判例もあります。

タダで代車を利用できた場合はダメ

2つ目の要件として、代車料を払ったことが必要です。

例えば、車を修理するときや買替える場合に、修理工場やディーラーから無料で代車が提供されることもあります。このように代車費用を払わないで済んだのであれば、もし有料であればかかった分の代車費用を請求することはできません。

ただ、これもかなり例外的な事案ですが、友人から代車を無料で借りたが、お礼をしようと考えているという事例で、代車費用相当額を認めた裁判例があります。

特に必要ないのに代車を利用してもダメ

3つ目の要件は、代車使用の必要性があったことです。

単に自分の車が壊れて使えないから代車を利用したというだけでは、要件である「代車使用の必要性」は認められません。

代車費用の必要性が認められるケースとしては、車が営業用車両で業務に使われていた場合、通勤・通学に使われていた場合などが典型的です。子供や病人の送迎や買い物等の日常生活に利用されている場合も、必要性が認められることがほとんどでしょう。

逆に、単にレジャーや趣味にしか使われていない場合は、必要性が認められないことが多いでしょう。

ただ、この要件は、通常の場合はあまり争われません。現実的に問題になるのは、車を1人で複数台保有している場合がほとんどだと思います。

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代車費用の相場|高級外車の代車でも国産車が限度

代車請求の要件を満たしても、どんな種類の代車の費用でも認められるわけではありません。代車の車種・グレード・単価が相当であることが必要です。

基本的には、事故車両と同種・同等グレードのものであれば認められる傾向にあります。もっとも、代車費用の単価に大きな差がなければ、車種・グレード等は違っても認められることが多いです。

ただし、フェラーリ、ポルシェ、メルセデスベンツなどの高級外車が事故に遭った場合には、同等の高級外車の代車費用が認められることはまずありません。

これは、代車費用というのはあくまで、代替的な交通手段の提供という観点からの応急処置的な補償であり、高級外車を保有している状態を補償するものではないからです。

実際に高級外車の代車として、高級外車を利用して日額3万円~8万円程度の高額な代車費用を支出したとしても、裁判例によると、賠償として認められている範囲は、日額1万円から2万5000円程度が相場となっています。

このように、高級外車が事故により損傷しても、その代車費用として認められるのは、国産高級車(トヨタレクサス・クラウン・セルシオなど)の代車費用程度となっているのが現状です。

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認められる代車の期間|判例だと2週間まで?

代車費用が認められる期間は、あくまで修理または買換のために必要な期間に限られます。

そのため、必要以上に長期間代車を利用した場合には、その一部のみの賠償しか受けられないことになります。

この必要な期間というのは、修理の場合には1週間から2週間程度、買替えの場合には1ヶ月程度です。

ただし、相手の保険会社のアジャスターの落ち度で修理費用の協定に時間がかかっている場合、部品の取り寄せで修理に時間がかかっている場合などは、修理に必要な期間として2週間以上の期間が認められることもあります。

また、経済的全損の事案で、修理か買い換えのどちらがよいか微妙のケースや、相手保険会社から時価額資料の提示が遅くて経済的全損かどうかの判断ができなかったケースでは、必要な期間としてより長期の期間が認められることもあります。

他にも、修理箇所や修理方法について、被害者と保険会社との間で協議をしていた場合には、交渉に必要な期間として、2週間程度、代車期間が追加されることもあります。

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過失割合10対0の事故でも代車利用で揉めることも

過失割合が10対0の事故の場合は、代車費用請求の3つの要件を満たす限り、保険会社から代車提供自体を拒否されることはほとんどありません。保険会社が提携している会社へ直ぐに代車を手配してくれることもあります。

もっとも、過失10対0の事故であっても、代車を利用できる期間については争いになることがあります。特に自分で代車を手配した場合や、保険会社が提携する工場以外で修理する場合などです。

過失10対0の事案で代車利用期間が延びてしまう理由で1番多いのは、ぎりぎりの経済的全損で修理するか買換えるのかがなかなか決まらない場合です。そもそも経済的全損に納得がいっていないケースも多いです。ただ納得がいかないからと言って早く決断しないと、代車費用の自己負担により、さらに損失を拡大してしまうことになります。

保険会社の方からは修理の場合は2週間を超えると代車の返還を求められることが多いです。仮に代車が引き揚げにならなくても、2週間を超えた代車費用が払われずに、最後にレンタカー会社から請求を受け自己負担になることもあります。

なお、全損で買い換える場合には、1ヶ月程度代車利用を認めてくれることもあります。その他部品取り寄せで修理に時間がかかる場合や、新車購入で納車に時間がかかる場合に、どの程度代車期間を認めてもらえるかはケースバイケースです。

過失割合9対1の事故だと代車費用は自己負担?

過失割合9対1の事故など被害者にも過失がある場合は、代車費用請求の3つの要件を満たしても、相手の保険会社は代車の提供を拒むケースが多いです。

これは、加害者側保険会社としては、あくまで過失割合に応じて賠償する義務のみがあるところ、代車を提供して100%の賠償をしてしまうと、あとから被害者の過失分を被害者から回収する必要が出てしまうためです。

このようなケースでも、代車費用請求の要件を満たしているのであれば、被害者自身が、レンタカー会社などで代車を見つけて契約し、加害者の過失分については後から請求することになります。過失割合が9対1なら、実際にかかった代車費用の9割を請求するということです。

ところが、保険会社担当者の中には、損害賠償の場面でも、過失割合が10対0以外では代車を提供しないという運用を主張してくる人がたまにいます。つまり、あとから代車費用の9割を請求しても、10対0でないから1円も払わないと言われることがあります。

しかしながら、代車費用の要件を満たす限り、過失割合が10対0以外の事故であっても、その過失割合に応じて加害者へ代車費用を請求できることは明らかです。ところが、相手保険会社が1円も払わないという態度を崩さないのであれば、裁判で請求せざるを得なくなります。

過失割合でもめると代車費用が自己負担に?

過失割合で揉めている場合、修理費の全額を被害者が払わない限り、修理工場では修理を実施してくれないこと多いです。過失割合が決まらないと、修理工場に保険会社から修理費が払われないため、修理費の取りっぱぐれを避けるためです。

この場合、被害者が修理費用全額を払わないことが原因で、修理が実施できず、その間の代車利用が延々と続いてしまうことがあります。もちろん、2週間~1ヶ月を超えてくると、保険会社から返還を求められるが多いですが、これも無視して利用を続けると、最終的に代車費用が被害者の自己負担になってしまう可能性が高いので注意しましょう。

この場合は、修理費を先に全額支払って修理を実施し、過失割合がまとまってから修理の加害者過失分を返してもらうのが、ダメージを一番小さくする方法です。

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