交通事故を弁護士に依頼すると裁判になってしまうのか?
弁護士は裁判をするときに依頼するものと考えていらっしゃる方もいます。
裁判まではしたくない、勝手に裁判になったら困ると心配して、弁護士への依頼をされる方がたまにいらっしゃいます。
そういう方のために、弁護に依頼すると裁判になるのかについて解説します。
目次
裁判にするかどうか決めるのは弁護士ではなくて依頼者
まず前提として、弁護士に依頼したとしても、裁判にするかどうかは依頼者であるあなたが決めることが出来ます。
依頼者が「決めることができる」というよりは、もっといえば、依頼者が「決めなければならない」のです。弁護士に、裁判にするかどうかも勝手に決めてやってくれといっても、弁護士としては勝手に裁判をすることは出来ません。
あくまで、依頼者から裁判を起こすことの委任を受けて、弁護士は、初めて裁判を起こすことになります。
なので、弁護士を依頼したからといって、必ず裁判になるということではないのです。
実際に弁護士に依頼をしても、示談交渉で解決し、裁判までは望まない方の割合の方が多い印象です。
弁護士に依頼しないでも勝手に裁判になるケース
ちょっと話はずれるのですが、弁護士に依頼しようがしまいが、交通事故が裁判になってしまうケースはあります。
一つ目は、双方に過失がある事案で、相手の損害について示談できない場合に、相手が弁護士をつけてあなたに対して裁判を起こす場合です。
もう一つは、あなたに過失がないことが明らかであっても、加害者(の加入する保険会社)があなたから不当な請求をされていると考えた際に債務不存在確認訴訟を提起してくる場合です。
これらの場合は、いくらあなたが裁判を望まなくても、また、弁護士に依頼しなくとも、裁判で戦う必要が出てきます。
裁判にするメリットとデメリット
上記の2つのケース以外では、裁判にするかどうかは、弁護士に依頼するかどうかに関係なく、あなたが決めることが出来ます。
それでは、裁判にするメリットとデメリットはどのようなものなのでしょうか?
裁判にするメリット
- 保険会社の理不尽な主張を排斥できる
- 裁判官の判断を得ることができる
- 弁護士費用の一部を請求できる
- 遅延損害金を請求できる
裁判にするデメリット
- 解決まで時間がかかる
- 弁護士と何度も打ち合わせが必要になる
- 賠償金が減額されるリスクがある
裁判を希望する依頼者の割合
うちの事務所の場合ですと、100件交通事故の依頼を受けると大体15件から20件くらいの依頼者が裁判を希望されるイメージです。
また、ADR(裁判の簡単なバージョンみたいなものです。詳しくはまた別の所で説明します)も入れるともう少し増えると思います。
当事務所の依頼者が裁判を希望することが多いケース
- 重度後遺症事故・死亡事故のケース
- 逸失利益が争われるケース
- 後遺障害等級を争うケース
- 双方の主張する事故態様に大きな食い違いがあるケース
- 過失割合の評価で大きく争うケース
裁判をするかどうかは弁護士としっかり話して決めよう
交通事故を弁護士に依頼しても必ずしも裁判になるわけではないということはおわかりいただけたでしょうか。
なので、裁判にはしたくないという方も、心配せずに弁護士に依頼をしてください。
示談交渉のみで解決することが出来ます。
また、裁判にしたい場合には、メリットとデメリットが複雑に絡み合います。
そのため、裁判の見通しを弁護士から詳しく聞いた上で、ご自身で裁判にするかどうかを判断する必要があります。
ですので、上記で説明した依頼者の方が裁判を希望しやすいケースに該当する方は、交通事故に詳しい弁護士にご相談ください。