交通事故の過失割合はどのようにして決まるのか?

交通事故の損害賠償請求においては,多くの場合,相手方の保険会社が過失割合を決めて,示談金を提示してきます。
このとき,自分が考えている過失割合と全然違うものが提示されて,納得がいかない,あるいは,保険会社の提示が妥当なのかどうか判断できないという悩みを持たれる方は多いものです。
そこで,この記事では交通事故の過失割合がどのようにして決まるものなのかについての基本を解説します。

過失割合・過失相殺とは

過失割合とは,交通事故に関する当事者の責任の割合を比率で表したものです。100%のうち,どちらがどれくらいの過失を負うかというかたち(10対90や25対75など)で示されることが多いです。追突事故や,センターラインオーバーによる正面衝突事故など,当事者の一方に責任が全くないような場合には,過失割合は,0対100になります。
そして,交通事故の損害賠償を請求する場合,この過失割合に応じて,損害賠償金額が減額されることになります。このことを,「過失相殺」といいます。例えば,損害総額が500万円の場合,自分対相手の過失割合が,10対90であれば,自分が受け取れる額は,500万円の90%の450万円ということになります。

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過失割合の決まり方

過失割合を決めるのは誰か?

この過失割合は,示談交渉の中で,お互いが合意をした割合があれば,その割合に決まります。話し合いで合意ができなかった場合には,訴訟を提起して,裁判所に決めてもらうこともあります。
つまり,過失割合を決めるのは,当事者双方か,裁判官かということになります。
もっとも,実際には,始めから話し合いで決めていくというよりは,保険会社が,一方的に決めて伝えてくることが多いと思われます。

過失割合を決定する際の基準

過失割合は,基本的に,過去の裁判例において,実際の事故と類似した事案で,どのような判断がなされているのかをみて,決めていくことになります。
そして,法律実務では,判例タイムズ社が出版する『民事交通訴訟における過失相殺等の認定基準』という書籍を参考にして判断されるのが一般的です。この本においては,交通事故の態様ごとに,基本となる過失割合や基本の割合を修正すべき要素が示されています。
例えば,交差点の車同士の事故で,片方(Aとします。)が黄色信号,もう片方(Bとします。)が赤信号で交差点に進入して衝突したという事故態様の場合は,次のような基準が示されています。

  • 基本の過失割合 A対B=20対80
  • 修正要素 Aが赤信号直前で侵入した →Aに10%加算
  • 衝突時にBの信号が青だった →Aの20%加算
  • Aに著しい過失があった →Aに10%加算
  • Aの重過失 →Aに15%加算
  • Bの著しい過失 →Bに5%加算
  • Bの重過失 →Bに10%加算

もっとも,この本にない態様の交通事故もあります。そのような場合には,類似した事故がないか,過去の裁判例を検索する必要があります。

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過失割合で納得がいかないときは

保険会社が提示した過失割合に納得がいかない場合には,自分で証拠を集めたうえで適切な主張を行い,保険会社を説得しなければなりません。それでも合意に至らない場合には,訴訟の中で,自分の主張を裏付ける主張・立証を行う必要があります。
以下,事故態様に争いがある場合と,事故態様には争いがない場合に分けて,具体的に説明します。

事故態様に争いがある場合

信号の色やそれぞれの車のスピード,現場の状況などの事故態様自体について,お互いの主張が対立している場合があります。
その場合には,まず,事故態様を立証しなければなりません。
そのためには,事故現場、向こうの言い分、場合によっては信号サイクルなどを調査して、どちらの主張が自然なのかを検証する必要があります。
弁護士にご依頼いただければ,弁護士が,資料の収集や現場の検証などを行い,依頼者の方が自然だという証拠を集めます。そのうえで,車の損傷状況や事故前後の動き方などを検討して、依頼者の主張が自然だということ証明していきます。

事故態様には争いがない場合

事故対態様には争いがなく、過失の割合にのみ争いがある場合は、こちらに有利な裁判例(できれば複数の裁判例)を検索して見つけ出す必要があります。見つけ出した裁判例を提出して,相手方を説得します。
膨大な量の裁判例から,自分が必要とする裁判例を見つけ出すことは,個人の方にとってはかなり困難なことだと思います。交通事故を日々扱っている弁護士は,裁判例に関する知識も豊富ですし,裁判例を的確に検索するノウハウも持っていますので,弁護士に任せるのが得策です。

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過失割合でお悩みの方は弁護士にご相談ください

過失割合がどのように決まるのか,基本的な事項を解説してきましたが,自分に有利な過失割合を相手方に認めさせるためには,法的な知識が必要になるということがおわかりになったかと思います。また,過失割合に大きな争いがある場合には,訴訟になる確率も高いです。
ですから,相手方保険会社が提示する過失割合に納得がいかなかったり,妥当な過失割合がわからなかったりする場合には,ぜひ弁護士にご相談ください。

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