交通事故によりタクシーで通院した交通費は請求できるのか?
交通事故でケガを負ってしまい、その治療の通院のために医療機関まで、タクシーを使うこともあると思います。
被害者からすれば、事故に遭わなければタクシー代を払うこともなかったのだから、当然、加害者やその保険会社に請求できるはずだと考える気持ちもわかります。
ところが、実際には、単に事故の怪我の通院のためにタクシーを利用したというだけでは、簡単にはタクシー代を払ってもらうことはできないのです。
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タクシーでもバスでも何で通院しようと事故被害者の自由だけど・・・
事故にあった被害者が、何を使って通院するかは被害者の自由です。
加害者や加害者の保険会社に通院方法を指定されるいわれはありません。
とはいえ、その交通費を加害者や保険会社からもらうことできるかというと、話は変わってきます。
交通事故による怪我の通院のためにタクシーを使ったからといって、それだけではタクシー代を払ってもらうことはできません。
通院のためのタクシー代が認められる場合
タクシー代を払ってもらえるのは、「タクシー利用が相当とされる場合」です。
この「タクシー利用が相当とされる場合」とは、例えば次のような場合です。
- 足を骨折して松葉杖をついたり、車いすを利用しており、電車・バスが利用できない場合
- 最寄りの病院まで電車やバスがでておらず、自家用車も利用できない場合
- 電車やバスではかなりの遠回りになり、腕を骨折するなどして自家用車も利用できない場合
他にも、例外的な場合として、事故によるPTSDで対人恐怖症になった場合や、高次脳機能障害により公共交通機関を1人では利用できない場合などがあります。
また、長期的にはタクシー利用の必要性がなくても、特に症状の強い事故後の急性期には、足の骨折等がなくてもタクシー利用の相当性が認められる可能性もあります。
通院でタクシーを利用する場合の注意点
このように通院のためのタクシー代金を払ってもらえる場合は限られています。
また、タクシー利用の相当性が認められる場合であっても、その期間については争いになり得ます。
そのため、通院にタクシーを利用して、その費用を争いなく払ってもらうためには、タクシーを利用する前に加害者の保険会社の了承を得ておくのが良いでしょう。
タクシー必要の相当性がなくてもタクシーを利用した場合
それでは、タクシー必要の相当性がなくても、タクシーで通院したいからとタクシーを使った場合はどうなるのでしょうか。
この場合、本来は公共交通機関で通うことができた場合であれば、その料金で算定した限度で交通費を請求できます。
これはタクシーを使わない場合には、かかっていたはずの費用だからです
通院にタクシーを利用するかどうかは弁護士に相談を
以上見てきたように、通院にタクシーを利用した場合に、そのタクシー代金を保険会社に払ってもらえるかどうか、個別具体的な事情によって変わってきます。
ご自身では、判断がつかない場合には、弁護士に相談してみるのがおすすめです。
また、交通事故で必要になる交通費については、電車・バス・自家用車を使った場合にどうなるのか?、通院以外の交通費はどうなるかなどいくつかの問題があります。
このような交通事故の交通費全般ついては次の記事で解説しています。