交通事故で紛争処理センターを利用する流れ
最終更新日:2023年5月28日/投稿日:2022年6月4日/執筆者弁護士豊田 友矢
目次
紛争処理センターの利用の流れ
1 電話での予約
まずは、電話で紛争処理センターを申し込む旨伝えて、期日の予約をします。
利用する紛争処理センターは、原則として被害者の住所地に近いセンターになるでしょう。東京、札幌、仙台、名古屋、大阪、広島、高松、福岡、さいたま、金沢の中のどれかです。
初回の期日は、紛争処理センターから空いている日時をいくつか提示されるので、その中から都合の良い日時を選びます。混雑状況にもよりますが、概ね電話をした日から1ヶ月前後先になることが多いです。
弁護士が申し立てする場合には、最初から和解あっ旋期日になるので期日が決まったら、弁護士から保険会社の担当者に連絡しておきます。
2 法律相談(弁護士に依頼せず申立をした場合)
弁護士に依頼せずに、被害者自身が紛争処理センターを利用する場合には、次の和解あっ旋手続きの前に、紛争処理センターの相談担当弁護士に法律相談をすることができます。
3 申立書類一式の提出
弁護士が申立をしている場合には、和解あっ旋期日に先立って、次のような書面を紛争処理センターと相手保険会社へ事前に提出します。
- 利用申込書
- 委任状・印鑑証明書
- 和解あっ旋申立書
- 損害計算書
- 治療状況表
- 事故発生状況図
- 実況見分調書
- 交通事故証明書
- 診断書・診療報酬明細書・施術証明書、領収書
- 後遺障害診断書、認定結果通知書
- 通院交通費の明細書・領収書
- 休業損害証明書・源泉徴収票
- 確定申告書
- 支払い通知
4 和解あっ旋期日の実施
和解あっ旋の期日では、紛争処理センターに弁護士(または被害者本人)と保険会社の担当者が出向きます。
和解あっ旋担当委員がいる部屋に交互に入って、それぞれ自分の主張を説明したり、委員からの質問に答えたりします。
なお、新型コロナウイルスの影響により、電話のみで期日を行う場合もあります。
初回の期日が終わると、2回目の期日の日時が決められます。期日の間に準備する事項にもよりますが、概ね1ヶ月前後先に2回目の期日が入ります。
期日間に、相手の主張に対する反論や、追加の証拠を提出したりすることもあります。
事件の内容にもよりますが、概ね3回目くらいに委員より斡旋案の提示がなされます。
5 和解成立or不成立
和解あっ旋委員から、斡旋案の提示がなされたら、その内容に応じるかどうかを、被害者と保険会社担当者双方が検討します。
双方が承諾しない限りはあっ旋による和解は成立しません。保険会社側はあっ旋案に承諾することの方が多いです。
6 審査会による審査と裁定
あっ旋案による和解ができない場合には、審査会による審査への移行を申し立てることができます。
審査会は、あっ旋担当委員とは別の人が3人で構成されています(基本的に裁判官OB、弁護士、大学教授など)。
審査会では、弁護士(または被害者本人)と相手保険会社担当者が、交互に審査委員のいる部屋に入り、主張を説明したり、審査会担当委員からの質問へ答えます。
審査会が終了すると、審査会より裁定結果を渡されます。
7 免責証書の取り交わしと示談金の獲得
和解あっ旋手続きによる和解に双方が承諾するか、または、審査会の裁定結果に被害者が納得した場合は、和解が成立することになります。
和解が成立したら、免責証書の取り交わしを行います。
免責証書の取り交わしも紛争処理センターを介して行われます。
取り交わしが完了すると指定した口座へ示談金が振り込まれます。
なお、被害者が、審査会の裁定結果にも納得できない場合は、紛争処理センターによる手続きは終了となって、別途裁判を起こす必要があります。