交通事故の弁護士費用の完全成功報酬型とはなにか?
最終更新日:2022年2月18日/投稿日:2022年1月27日/執筆者弁護士豊田 友矢
交通事故の弁護士費用の「完全成功報酬型」とはどのようなものなのかについて解説します。
通常の弁護士費用(完全成功報酬型ではない場合)とは
通常の場合は、弁護士に依頼した時の費用は、着手金と報酬金の2つから成り立っています。
着手金は、手付金のようなもので、依頼時に発生する費用です。この費用は、弁護士が業務を行う事に対する費用なので、その結果にかかわらず、原則として返金されることはありません。
例えば、100万円の請求を弁護士に依頼して、着手金が20万円払った時に、最終的に裁判で負けて1円ももらえなかった時にも、この着手金20万円は返金されないのです。
他方で、報酬金は、弁護士の業務による成果に応じて発生するものです。基本的には得られた利益(もらえた賠償金など)の●%と定められることが多いです。
例えば、100万円の賠償金をもらえたら、その10%の10万円が報酬金になるということです。
このように、通常の場合は、着手金と報酬金の双方が発生し、着手金は結果にかかわらず発生するため、結果が失敗の終わった時は赤字になってしまうこともあります。
完全成功報酬型の弁護士費用とは
完全成功報酬型とは、成果に応じてのみ弁護士費用が発生する形態です。
つまり、着手金は無料で、成功報酬のみがかかります。
「完全」というのは、通常、成功報酬が相手からもらった賠償金額を上回ることはないという事を意味します。
ただこの点は、厳密な法律用語ではないため、弁護士や法律事務所によって違うこともありますので、契約の前にご確認いただいた方が良いでしょう。
完全成功報酬型では依頼できない案件とは
これまで見てきたように、一般の弁護士費用としては、通常の着手金・報酬金方式が原則です。
これは、弁護士は必ずしも100%勝てる案件だけを受けているわけではないからです。完全成功報酬型のみにしてしまうと、事務所の経営上、受けることが出来ない案件が増えてしまい、弁護士に依頼したくても出来ないという方が増えてしまいます。
そのため、完全成功報酬型で依頼することが出来る案件というのは、一定の金額を相手から回収できる可能性が高い案件になります。
交通事故案件の場合、相手に任意保険会社がついていれば、回収には問題が生じることはありませんし、ご相談の時点で、交通事故に詳しい弁護士であれば、一定の幅での示談金額の見通しがつきます。
そのため、交通事故については、特別に完全成功報酬型にしている弁護士や事務所もあるのです。
当事務所でも、原則として交通事故の被害者でケガをされた方については、完全成功報酬型の報酬体系にしています。
ところが、一概に交通事故といっても、様々な案件があり、例えばMTBIや脳脊髄液減少症に関して、自賠責では非該当であるものを裁判で後遺障害を争う事件など、見通しが立ちにくい事件も存在します。
また、加害者が無保険であり、裁判で勝っても回収が困難であることが想定される事案もあります。
このような事件については、完全成功報酬型ではご依頼を受けることは出来ませんので、別途個別にお見積もりさせていただいております。