慰謝料が通院1日4300円の2倍なら自賠責基準→増額の余地あり
最終更新日:2024年11月18日/投稿日:2022年10月6日/執筆者弁護士豊田 友矢
保険会社から示談金額が提示される際、示談金の内訳書が同封されてきます。その中に「慰謝料」の項目があり、慰謝料金額の計算方法が書かれています。
そこで1日4300円という金額や、2倍にした金額がかかれていることが多いです。一体この数字は何なのでしょうか?またこの計算方法は妥当なのでしょうか。
目次
慰謝料が通院1日4300円の2倍なら自賠責基準
慰謝料の算定根拠の4300円という数字はどこから出てきたのでしょうか?
実は、この4300円というのは、自賠責基準の慰謝料の算定基準なのです。ですので、あなたのためだけに決められた特別な金額ではなく、高いわけでも安いわけでもないということです。
さらに、慰謝料の明細を見てみると、4300円という金額に通院日数の2倍をかけて慰謝料を計算されているかと思います。
もしくは、通院頻度が多い場合は、通院日数の2倍ではなくて、通院総期間の日数をかけられていることもあります。
4300円という金額と同じように、この計算方法も自賠責基準そのままの計算方法です。
つまり、自賠責基準の場合は、基本的に、通院1日当たり8600円(4300円×2)で慰謝料が提示されることになります。
任意保険基準の提示なら4300円の記載はない
単なる打撲・捻挫ではなく、骨折などの重傷なのに通院回数が少なくて自賠責基準では慰謝料が低すぎる場合は任意保険基準で提示されることもあります。
また、逆に軽症で通院が長期化して通院回数も多くて自賠責基準の限度額を超えており、通院1日あたり4300円の2倍で計算すると慰謝料が高すぎる場合にも、任意保険基準で提示されることがあります。
これらの場合、慰謝料は、入院日数と通院期間をベースに症状による増額も踏まえて計算されるので、4300円という金額は出てきません。
弁護士基準は1日4300円の2倍よりも多い?
弁護士基準の慰謝料は、算定の際に通院1日あたり4300円の2倍という計算はしません。
ただし、単に1日当たりの慰謝料金額が増えるわけではありません。弁護士基準の場合、原則として、通院●日ではなくて、治療期間(事故日から治療終了日)の日数で慰謝料を算定するからです。
つまり、治療期間1ヶ月だと慰謝料●円、2ヶ月だと●円というように、通院1日当たりの金額を持ち出すことはなくなるのです。
そして、大抵の場合、このような弁護士基準で算定した慰謝料の方が、自賠責基準の慰謝料よりも高額になります。
自賠責基準で提示されたら増額の余地あり
保険会社から慰謝料を通院1日あたり8600円(4300円の2倍)と提示された人は、打撲・捻挫、切り傷、むちうちなどの軽傷の部類で、かつ通院頻度がそこまで高くないケースが多いです。
この場合、自賠責基準では慰謝料がかなり低く算定され、しかも保険会社から任意保険基準での慰謝料が提示されることもほとんどありません。
このような場合は、弁護士に依頼して弁護士基準で慰謝料を算定することによって、慰謝料を増額できる可能性が高いです。
特に弁護士特約に加入している場合には、通院期間や回数が少なくても、手元に残る慰謝料額を増やすことができるので弁護士に依頼するのがオススメです。
骨折で任意保険基準での提示も増額の余地あり
慰謝料明細に4300円の数字がない場合は、任意保険基準での提示がされているかと思います。
保険会社が任意保険基準で提示するケースは、骨折などの重傷の怪我を負っているケースが多いです。
この場合は、弁護士に依頼すると弁護士基準の中でも比較的高額である別表Ⅰという表で算定されます。
そのため、慰謝料をかなり増額できる可能性があります。また重傷の場合は後遺障害等級が認定されている可能性もあり、この場合後遺症慰謝料の増額も見込めます。
このように、保険会社からきた慰謝料明細に4300円の金額が書いてなく、かつ、重傷のケースでは、弁護士特約がなくても弁護士に依頼した方が、手元に残る金額が増えることが多いです。