交通事故で示談せず裁判になるケースとそのデメリット
最終更新日:2024年11月13日/投稿日:2022年1月27日/執筆者弁護士豊田 友矢
交通事故の示談交渉は弁護士に依頼したいが、裁判まではしたくないという被害者の方も多いでしょう。
勝手に裁判になったら困ると心配して、弁護士への依頼をされる方がたまにいらっしゃいます。
また、被害者が弁護士に依頼するしないにかかわらず、加害者側から被害者に対して裁判(債務不存在確認訴訟)を起こしてくる場合もあります。
この記事では、交通事故の損害賠償が裁判になるケースや裁判をする場合のデメリットについて解説します。
目次
前提:裁判にするか決めるのは弁護士ではなく依頼者
まず前提として、弁護士に依頼したとしても、裁判にするかどうかは依頼者自身が決めることができます。
依頼者が「決めることができる」というよりは、より正確に言えば、依頼者が「決めなければならない」のです。弁護士に、裁判にするかどうかも勝手に決めてやってくれといっても、弁護士としては勝手に裁判をすることは出来ません。
あくまで、依頼者から裁判を起こすことの委任を受けてから、弁護士が裁判を起こすことになります。
ですので、弁護士を依頼したからといって、必ず裁判になるということではないのです。
実際に弁護士に依頼をしても、示談交渉で解決し、裁判までは望まない方の割合の方が多い印象です。
示談交渉で解決できずに裁判になるケースとは
裁判を希望する依頼者の具体的な割合
うちの事務所の場合ですと、100件交通事故の依頼を受けると大体15件くらいの依頼者が裁判を希望されるイメージです。
また、裁判以外にも、紛争処理センターへの申立て(裁判の簡単なバージョンみたいなものです。詳しくは▶交通事故紛争処理センターを利用するデメリット【弁護士解説】)を行なうことも少なくなく、この数も入れると、もう少し増えると思います。
当事務所の依頼者が裁判を希望することが多いケース
- 重度後遺症事故・死亡事故のケース
- 逸失利益が争われるケース
- 後遺障害等級を争うケース
- 双方の主張する事故態様に大きな食い違いがあるケース
- 過失割合の評価で大きく争うケース
このようなケースでは、裁判にした方が金銭的メリットが大きかったり、どうしても相手と折り合いがつかず、依頼者が裁判を希望するケースが多いです。
なお、慰謝料の金額や、主婦の休業損害の金額などに争いがある場合には、裁判まではしたくない場合でも、紛争処理センターへの申立てを希望する方も多いです。
弁護士に依頼しないでも勝手に裁判になるケース
ちょっと話はズレるのですが、弁護士に依頼しようがしまいが、交通事故が裁判になってしまうケースはあります。
1つ目は、双方に過失がある事案で、相手の損害について示談できない場合に、相手が弁護士をつけてあなたに対して、相手の損害を請求する裁判を起こす場合です。
2つ目は、あなたに過失がなくても、加害者(の加入する保険会社)があなたから不当な請求をされていると考えた際に、債務不存在確認訴訟を提起してくる場合です。
これらの場合は、いくらあなたが裁判を望まなくても、また、弁護士に依頼しなくとも、裁判で戦う必要が出てきます。
裁判にするメリットとデメリット
上記の2つのケース以外では、裁判にするかどうかは、弁護士に依頼するかどうかに関係なく、あなたが決めることが出来ます。
それでは、裁判にするメリットとデメリットはどのようなものなのでしょうか?
メリット
- 保険会社の理不尽な主張を排斥できる
- 裁判官の判断を得ることができる
- 弁護士費用の一部を請求できる
- 遅延損害金を請求できる
デメリット
- 解決まで時間がかかる
- 弁護士と何度も打ち合わせが必要になる
- 賠償金が減額されるリスクがある
裁判をするかどうかは弁護士としっかり話して決めよう
交通事故を弁護士に依頼しても必ずしも裁判になるわけではないということはおわかりいただけたでしょうか。
なので、裁判にはしたくないという方も、心配せずに弁護士に依頼をしてください。
示談交渉のみで解決することが出来ます。
また、裁判にしたい場合には、メリットとデメリットが複雑に絡み合います。
そのため、裁判の見通しを弁護士から詳しく聞いた上で、ご自身で裁判にするかどうかを判断する必要があります。
ですので、上記で説明した依頼者の方が裁判を希望しやすいケースに該当する方は、交通事故に詳しい弁護士にご相談ください。