交通事故後の成年後見申立手続のサポート
交通事故後の成年後見申立手続のサポート
交通事故による後遺症を負って,意思の疎通ができなくなったり,判断能力が著しく低下してしまったりした場合,被害にあったご本人では損害賠償請求をすることができません。そのような場合,ご家族はどのようにすればよいのでしょうか。
ここでは,被害者ご本人が損害賠償請求の手続きを取れない場合に利用できる制度である成年後見制度について,解説します。
成年後見制度とは
成年後見制度とは,認知症,知的障害,精神障害などの理由によって,判断能力が十分ではない方を保護するための制度です。
家庭裁判所によって選任された成年後見人が,判断能力を欠いた人の代わりに,法律行為を行うなどの支援をします。
成年後見制度は,交通事故により判断能力を失った被害者に代わって,損害賠償を請求する必要があるときに,成年後見人に,被害者の代理人として請求してもらうという形で利用されるだけではなく,認知症などによって判断能力を失った人のために,介護の契約を結んだり,遺産分割協議を行う必要があったり,財産を管理したりする必要があるときなどにも利用されることがあります。
手続きの流れ
成年後見制度を利用するためには,まず,後見開始の審判を家庭裁判所に申し立てる必要があります。申立てをすることができるのは,基本的に,本人か本人の親族になります。
申立てがあると,裁判所の職員が,申立人,後見人候補者,本人から事情を聴いたり,本人の親族に後見人候補者についての意見を照会したりします。裁判官が審問を行うこともあります。また,本人の判断能力について,鑑定が行われることもあります。
その後,家庭裁判所は,後見等の開始の審判をすると同時に,成年後見人を選任します。成年後見人は,家庭裁判所が,ご本人にとって最も適任だと思われる人を選任します。弁護士などが選任されることもありますが,ご家族が選任されることもあります。
交通事故で成年後見が必要となるケース
交通事故により重度の高次脳機能障害や遷延性意識障害(いわゆる植物状態)などの後遺障害を負って判断能力が失われると,被害者の方本人が自分自身で損害賠償請求を行うことができませんので,成年後見制度を利用しなければ,損害賠償金を受け取ることができません。
判断能力がないと示談交渉を進めることもできませんので,示談交渉に際して,相手方の任意保険会社から,成年後見人制度を利用してほしいと言われることもあります。
成年後見について弁護士が行うサポートとは
申立て手続きのサポート
成年後見を利用するためには,後見開始の審判を申し立てる必要がありますが,申立てのためには,様々な書類を準備する必要があり,かなりの手間がかかります。弁護士に依頼すれば,すべて弁護士が代わりに行いますので,ご家族の負担は大きく軽減されます。
示談交渉や訴訟手続きのサポート
成年後見人が選任された後は,交通事故の相手方との示談交渉をすることになりますが,弁護士に後見開始の審判の申立てを依頼した場合,引き続いて弁護士が示談交渉も代行することができます。また,示談がまとまらずに訴訟の提起が必要となった場合にも,弁護士がすべてサポートします。賠償金を受け取ることができるまで,途切れることなく一貫したサポートを受けることができるのです。
交通事故でご家族が重い後遺障害を負われた場合には弁護士にご相談ください
突然の交通事故でご家族が重い後遺障害を負ってしまった場合,ご家族のご心痛,看病などの負担は,極めて大きいものです。そのような場合には,成年後見人を選任するための手続きや示談交渉などまでご自分でされることは,困難であると思われます。弁護士にご依頼いただければ,損害賠償請求の問題については,すべて任せることができますので,その部分の負担は軽減することができます。