交通事故でむちうち症になってしまった方へ
最終更新日:2022年4月4日/投稿日:2022年4月4日/執筆者弁護士豊田 友矢
目次
あなたの症状はむちうちですか?診断名は頚椎捻挫など
交通事故でむちうちになってしまっても、診断書に「むちうち」と書かれることはほとんどありません。
実際には、「頚椎捻挫」などと書かれることが多いです。
頚椎とは首の部分ですが、むちうちの症状は必ずしも首のみに現われるとは限りません。
首だけでなく肩や腕、手の先までしびれなどの神経症状が出ることもあります。
また、頭痛、めまい、吐き気などの症状が出ることもあります。
どういう事故でむちうちになる?
むちうちとは、その名の通り、首をむちのようにしならせてしまったことにより発症するものであると考えられています。
そのため、むち打ちになる事故の典型例は、追突事故です。追突されたときの衝撃で、頭が前後に大きく振られ、首の神経やその周辺組織に損傷が生じてしまうのです。
また、追突事故以外でも、首に衝撃が加わることで、むちうちになってしまうこともあります。
むちうちになると注意すべき点がとても多い
交通事故で負ってしまうケガの中でむちうち症になってしまう方の割合はかなり多いです。
もっとも、むちうち症は交通事故の怪我の中では比較的軽傷の部類に入ります。
そのため、骨折や脳の損傷などの重症ではないのでむちうちくらいでわざわざ示談交渉に弁護士をいれる必要はないだろうと考える方もいるかと思います。
ところが、むちうち症になってしまった場合には、重症の人と同じくらい、場合によってはそれ以上に、とても多くの問題点が今後生じる可能性があります。
その理由は、むちうち症が、骨折などとは違い、目に見えない怪我であることが大きな理由です。
むちうちは治療費の打ち切りがされやすい
むちうちで保険会社もめるポイントはいくつかありますが、一番多いのは治療期間です。
むちうちは、人によって症状が千差万別で、しかも症状がひどいかどうかが客観的に判断することが困難です。
そのため、病院に通っていれば、保険会社が治療費を払ってくれるわけではありません。保険会社は事故と相当因果関係がある治療期間についてしか治療費を払いません。
そのため、被害者が治療を継続したいと希望していたとしても、保険会社が治療費を打ち切ってくることが多いのです。
これは保険会社が一方的に妥当な治療期間を決めていることになります。その期間が妥当であれば、しょうがないのですが、中には明らかにおかしな打ち切りもあります。
打ち切り時期が妥当かどうかは専門的判断が必要になるので弁護士にご相談下さい。
むちうちの後遺症は補償してもらえるのか?
むち打ちの場合は、原則として、自賠責の後遺障害等級認定がされれば、後遺症の補償をしてもらえることになります。
むちうちは交通事故の怪我の中では比較的軽傷なので、後遺障害害等級認定がされる割合も、決して高くはありません。
事故で怪我を負った人数の内、後遺障害等級認定がされている人の割合は約5%前後ですが、むち打ちの場合もほぼ同じくらいの割合だと感じています。
むちうちで後遺障害が認定されると、賠償金が3倍近くになることも多いです。事故時の収入によっても変わるのですが、金額にして200万円近く増額されることが多いです。
現在では、むちうちでこうすれば絶対に後遺障害認定を得られるといった方法はありません。他方で、こうしてしまうとまず認定は得られないといった事情は存在します。
この点は、事故後早期の段階で弁護士に相談し、知らないまま等級認定に不利な行動をしないですむようにしたほうが良いと思います。
むちうちで仕事ができない場合休業補償はでるのか?
むちうちになって仕事を休めば、それだけで休業補償をもらえるわけではありません。
治療さえしていれば治療費を払ってくれるというわけではないのと同じで、事故が原因かどうかを厳しく確認されます。
むちうちでどの程度の休業期間が認められるかどうかは、症状の程度と仕事の内容によって大きく変わります。これも専門的判断が必要になるので、弁護士にご相談下さい。
むちうちでも弁護士は慰謝料を増額できる
むちうちの慰謝料は弁護士が示談交渉をすると増額することができることがほとんどです。
これは、弁護士がはいるかどうかで慰謝料の基準が変わるためです。
むちうちくらいの軽傷では、弁護士が入っても金額は変わらないだろうと考える方もいるかも知れませんが、ご自身で示談交渉をするときと比べて1.5倍~3倍くらいになることも珍しくありません。
むちうちで弁護士に依頼したほうが良い場合とは
むちうちで弁護士に依頼したほうが良いのは、費用倒れにならないときです。
費用倒れにならない目安を説明します。
まず、弁護士費用特約があれば、費用倒れにならないで、弁護士が増額した慰謝料が全部手元に残せるので、依頼したほうが良いケースがほとんどです。
弁護士費用特約がなくても、被害者の過失が0か小さい場合で、通院期間が5ヶ月以上ある場合は弁護士に依頼したほうが良いケースが多いです。
主婦の場合は、弁護士が主婦の休損を増額できる関係で、3,4ヶ月程度の治療期間でも、弁護士に依頼するメリットがあることあります。
また、後遺障害14級が既に認定されているケースでは、過失が大きくない限り費用倒れになることはない半面、弁護士が増額できる金額がかなり大きいので、必ず弁護士に依頼した方が良いと考えています。