交通事故で壊れたスマホ・携帯など持ち物を弁償してもらう方法
最終更新日:2024年10月8日/投稿日:2022年6月28日/執筆者弁護士豊田 友矢
交通事故でスマホ・携帯電話などの持ち物が破損してしまうことがあります。
このような物品の損害を、加害者の保険会社に弁償してもらう方法や弁償してもらえる金額について解説します。
目次
壊れたスマホ・携帯の写真をすぐに撮影する
まず、事故で壊れたスマホ・携帯などを弁償してもらうためには、スマホ・携帯が事故のせいで壊れたということを証明する必要があります。
事故後すぐにスマホなどの破損した持ち物を写真に撮ることによって、事故後に別の原因で壊れたのではないかと疑われることを防ぐことができます。
写真は、壊れたものの全体像と、破損箇所を拡大したものの双方を撮影しておきましょう。
スマホ・携帯が壊れた旨、すぐに保険会社へ申告する
事故から時間が経ってから、事故でスマホなどの持ち物が壊れたことを保険会社へ伝えた場合、本当に事故が原因で壊れたのか疑われる可能性があります。
物が壊れたことは事故直後にわかるはずなのに、なぜ何ヶ月も経ってから行ってきたのかと怪しまれます。そのため、スムーズに支払いを受けられないこともあります。
そのため、事故によってスマホ・携帯などの持ち物が破損していることに気づいたら、できる限り速やかに加害者の保険会社へ申告しましょう。
事故の際、持ち物がどのような状況で壊れたかも伝えておきましょう。例えば、ポケットに入れていたスマホが、事故で車にひかれた後にポケットの中で壊れていたなどです。
壊れたスマホ・携帯の弁償金額は時価額が上限
事故のせいでスマホ・携帯が壊れたことが認められても、次に、いくら弁償してもらえるのかが問題になります。
被害者としては、事故のせいで新しいスマホ・携帯に買い替える場合には、新しく購入するスマホの費用を賠償してほしいと思うでしょう。しかし、残念ながら法的には、修理できるなら修理費用か時価額の安い金額を、修理できないなら時価額の賠償を求めることができるにすぎません。これは、車両自体が破損したときと同じ話になります。▶経済的全損だと泣き寝入り?修理したいのに全損扱いはおかしい?
そして、携帯や衣服などの携行品については、中古市場価格が形成されていないことが多いため、保険会社の実務では、時価額は減価償却の方法によって算定されることが多いです。
もっとも、iPhoneなどの人気機種については、中古品でも相当な価値があり、流通数も多く、一定の市場が形成されていることもあります。この場合、同一年式の同一機種(iPhoneの何世代か、proか無印か、ストレージがどれくらいか)の中古価格を調査して、時価額とすることも考えられます。
スマホ・携帯の購入時期と購入金額を確かめよう
仮に、スマホ・携帯などの携行品の時価額を減価償却の方法によって算定する場合には、購入時期と購入金額の情報が必要になります。
オンラインションプなどで購入していた場合には、購入履歴や購入メールを確認して判明することがあります。また、実店舗で購入していた場合は、領収書が残っていないことも多いと思います。その場合は、記憶の範囲で、大体の購入時期と購入金額を思い出すようにしましょう。
スマホなどであれば、型番がわかれば定価もわかるので、領収書等が残っていなくとも、購入価格を証明することができます。
また、スマホ・携帯を購入直後に事故で壊れてしまった場合には、購入価格全額を賠償してもらえる可能性もあるので、購入時期の資料をなんとか入手しましょう。
画面割れなど修理可能な場合には修理費の見積もりが必要
スマホ・携帯の画面が割れた場合などは修理可能な場合もあります。このように壊れた持ち物が修理可能な場合は修理費の見積もりが必要になります。
ただし、持ち物の中でも、ブランドものの腕時計など修理費が高額になるような場合には、修理費の金額の適正さを証明するために、できる限り正規店での見積もりをとるのが良いでしょう。
スマホ保険に加入していないか調べよう
これまでは、あくまで壊れたスマホ・携帯などについて、相手に法的な賠償請求をすることを前提に説明してきました。この場合、説明したとおり、弁償される金額は、時価額が限度になってしまい、同種の機種を新たに購入できないことがあります。
もっとも、近年は事故の被害者がスマホ保険に加入している場合があります。スマホ保険では、契約している保険内容によりますが、修理不能の場合でも、壊れたスマホの購入金額まで保険金が出ることも多いようです。
そのため、スマホ保険に加入している場合には、事故相手に損害賠償するよりもスマホ保険から保険金を受け取った方が得になることがあるので、事前に確認するようにしましょう。なお、スマホ保険と事故相手から二重取りすることはできません。