10対0のもらい事故でも弁護士特約を利用すべき理由
最終更新日:2024年11月21日/投稿日:2022年3月10日/執筆者弁護士豊田 友矢
目次
10対0のもらい事故では弁護士特約が役に立つ!
もらい事故では、弁護士特約を利用すると、次の3つの大きなメリットがあります。
- 自分で交渉する必要がなくなる
- 費用倒れの心配がいらない
- 示談金の増額幅が大きい
以下では、なぜもらい事故は、他の事故よりも弁護士特約が役に立つことが多いのかについて解説します。
10対0だと被害者が自分で示談交渉する必要がある
もらい事故とは、被害者に一切の過失がない事故のことです。
例えば、信号待ちで停車中に後ろから追突された事故やセンターオーバーをしてきた車と正面衝突した事故などです。このような事故は、被害者の過失はゼロなので、過失割合が10対0となります。
このように被害者に全く過失がない事故では、被害者の加入している保険会社が示談代行をすることができないことになっています。
そのため、被害者が自分自身で直接、相手の保険会社と示談交渉をしないといけません。
ところが、保険会社の担当者は、交通事故の示談交渉の経験が豊富なため、交通事故の被害者は不利な立場になってしまいます。
そんなとき、弁護士特約を利用して、弁護士に依頼すれば、相手保険会社との交渉は全て弁護士に任せることが出来ます。
追突などのもらい事故は費用倒れになりやすい
もらい事故の中で、一番多いのは、停車中に後ろから追突される事故です。
停車中の追突事故が起きると、交通事故の中では比較的軽傷である、むちうち等の捻挫や打撲のケガを負うことが多いです。そのため、治療期間も長期化せずに治癒することが多いです。
そうすると、賠償金の額も、骨折などの重症の事故と比べると低額になることが多いです。そのため、通院期間が短い場合などには、弁護士に依頼すると、弁護士費用で費用倒れになるケースがあります。
そんなときに、弁護士特約があれば、軽症の事故でも、費用倒れになることはまずありません。損しないかという心配をせずに弁護士に依頼することができます。
もらい事故は弁護士基準による増額幅が大きい
弁護士特約で、弁護士に依頼すると、交渉を自分でやる必要がなくなるだけでなく、慰謝料等の示談金を増額することができます。
ここで大事なポイントは、慰謝料を増額しても、被害者に過失がある場合には過失分が増額された慰謝料から引かれてしまうのです。
例えば、弁護士が慰謝料を40万円増額したとしても、過失が5対5の事故では、過失分がひかれるため、最終的にうけとれる増額分は20万円になってしまうのです。しかも実際には、治療費などの既払金についても過失分が引かれるため、より少なくなります。
この点、最初に説明したように、もらい事故の過失割合は10対0です。そのため、弁護士が増額した慰謝料等の損害額について、過失分を引かれることなく、そのまま被害者が取得することができます。
このように、もらい事故のように被害者に過失がない事故では、弁護士特約を利用して弁護士に依頼すれば、最終的に受け取れる示談金が増額できる幅が大きいのです。
もらい事故にあったら弁護士費用特約を利用しよう!
これまで見てきたように、もらい事故にあった場合には、弁護士費用特約を利用するメリットが特に大きいといえます。
他方で、弁護士特約を利用するデメリットは一切ありません。弁護士費用特約を利用しても保険の等級は変わらず、保険料が上がることもありません。
弁護士特約を利用すると、特約の範囲内では弁護士費用の負担なく弁護士に依頼できますし、仮に特約の範囲を超えたとしても、弁護士費用の自己負担分は大きく下がりますので、大きなメリットがあります。
もらい事故にあってしまったら、まずは弁護士特約に加入しているかどうかを確認しましょう。もし弁護士特約に加入しているようでしたら、必ず特約を利用した上で、弁護士に相談・依頼するのが良いでしょう。