交通事故を弁護士に依頼するデメリットやリスクはないのか?
交通事故に遭った際に、慰謝料のことなどをインターネットで検索すると、弁護士に頼んだ場合のメリットに関する情報があふれていると思います。
でも、本当に交通事故の示談交渉を弁護士に依頼するのはメリットばかりなのでしょうか?デメリットやリスクは一切ないのでしょうか?
そんな不安をお持ちの方へ、交通事故トラブルを弁護士に依頼するデメリットとリスクについて解説します。
目次
弁護士に依頼する際に心配な4つのデメリット
交通事故を弁護士に依頼することによるデメリット・リスクで、被害者の方がよく心配されているものは、次の4つが多いと感じます。
- 弁護士費用がかかる
- 解決まで時間がかかる
- 手間がかかる
- 大事になってしまう
皆さんが心配しているこれらのデメリットは、一部は間違いで、一部は本当です。もっとも、デメリットがあってもメリットの方が上回るケースではデメリットを感じないという場合もあります。
それでは、この4つのデメリットについて詳しくみていきます。
①:弁護士費用がかかる?
「弁護士に依頼すると弁護士費用で損をしてしまうのでは・・・」
このように心配される被害者の方も多いと思います。
弁護士に依頼するには、当然のことですが、弁護士費用がかかります。
弁護士費用がかかること自体がデメリットであることは疑いようがないでしょう。
もっとも、次のいずれかの場合には、このデメリットはなくなります。
- 弁護士費用特約が利用できる場合
- 弁護士費用よりも弁護士に依頼することによる増額分の方が大きい場合
弁護士費用特約が利用できるのであれば、弁護士費用は、原則として自己負担する必要がありません。
なお、弁護士費用特約の上限額(300万円)を超える場合には、自己負担部分が出てきますが、そのようなケースは基本的に損害賠償金が1000万円以上の高額なケースなので、弁護士をいれることによる増額分の方が弁護士費用より高くなることがほとんどです。
弁護士費用特約がない場合であっても、支払う弁護士費用よりも、弁護士に依頼することによる増額分が増えれば、デメリットはなくなります。
つまり、弁護士費用が30万円かかっても、示談金が弁護士をいれたことにより100万円増額できれば、デメリットはないということになります。
交通事故で費用倒れにならないかについては次の記事で詳しく解説してますので参考にして下さい。
②:解決まで時間がかかる?
「交通事故の示談交渉を弁護士に頼むと、時間がかかるのでは?」と考える被害者の方も多いと思います。
たしかに、被害者が自分で保険会社のいいなりになって示談するのであれば、それが一番早く解決できます。
これはどういうことかというと、弁護士をいれないで保険会社の言いなりになっている場合には、保険会社は自分に有利な内容で早く示談しようと持ちかけてくるからです。
治療が終了した後に、低い示談金の免責証書(示談書のようなもの)が送られてきた際に、それにサインすれば、1週間程度で示談金が口座に振り込まれます。
つまり、弁護士をいれないで何も交渉をすることなく、保険会社の言いなりになって示談するのであれば、それが一番早く解決できます。
この点、弁護士に依頼すれば、適正な金額の示談金を得るために、保険会社と交渉したり、証拠を検討したりすることになるので、そのための交渉期間が余分にかかるんです。
なので、「示談金なんてどうでもいい」「保険会社の言いなりでいい」「今すぐ示談したい」という方は、弁護士に依頼すると交渉期間がかかるというデメリットが生じることになります。
でもそれでは、加害者の保険会社が決めた低額な示談金しか獲得できません。
他方で、保険会社の言い分には納得できないが、弁護士に依頼しないで自分で交渉しようという方は注意が必要です。
保険会社とのスムーズな交渉には、様々な知識や経験が必要なので、自分で交渉しても納得できる結果になることは少ない上、弁護士が交渉するよりもさらに長期の時間がかかってしまうことが多いからです。
被害者が自分で示談交渉をしても、例えば慰謝料を裁判基準・弁護士基準に引き上げることは困難です。
また、他の損害項目や過失割合などを、被害者が自分で交渉した場合、適格な主張立証ができないことが多く、弁護士に頼む以上に時間がかかってしまうことが多いです。
そのため、適正な示談金を獲得したいというのであれば、弁護士に依頼することによってかかる時間はデメリットとまではいえないものになります。
また、弁護士に依頼したとしても、争点が少ない事案では、わずか数週間で解決できることも多いです。
③:弁護士に頼むのは手間がかかる?
「弁護士に頼むのは面倒くさそう。手間がかかりそう。」と心配されている被害者の方もいると思います。
ところが、弁護士に頼むというと何か大げさな感じがするかも知れませんが、必ず必要な手続というのは、30分から1時間程度の相談と、委任契約書と委任状へのサインと押印くらいです。ですので、弁護士に依頼する手間というのは大きなデメリットではありません。
その上、弁護士に相談して、弁護士と委任契約を結べば、保険会社との示談交渉は全て弁護士が行うので、弁護士に依頼した方がむしろ手間がかからないのです。
もちろん、弁護士は依頼者の意向を無視して、勝手に示談をまとめることは出来ません。
ですので、交渉が進んだ場合や、示談の見込みがある場合には、その都度弁護士とやりとりをして、自分の意思を伝えないといけません。
もっとも、これは仕事終わりに電話や、メールでも可能な事務所も多いので、自分で日中に保険会社とやりとりするよりは労力は減ります。
なので、弁護士に依頼したからといって、示談に剥けての労力が増えるわけではありません。
なお、事案によっては、示談金額を増額するための証拠の収集を弁護士に頼まれることもあります。
ただこれも、自分だけでどんな証拠を集めれば良いかわからないまま、やみくもに証拠を集めるよりも、弁護士のアドバイスを受けながらの方がスムーズに行うことができます。
④:弁護士に頼むと大事になってしまう?
「弁護士に頼むと、裁判になるなど、大事(おおごと)になってしまうのでは?大きい事故ではないし、大事にはしないで解決したい・・・」
このように心配される被害者の方もいるかもしれません。
ただ、まず1つ重要な点は、弁護士に依頼したから、直ぐに裁判になるということはないということです。
裁判になる場合は、あくまで被害者の依頼者が、裁判をしたいと希望したときだけです。弁護士が勝手に裁判を起こすことはできません。
そして、交通事故の示談交渉では、ご依頼者が示談交渉の結果に納得して、裁判はしなくてよいと考える方のほうが多いので、結果的にはかなり多くの割合の方が裁判をせずに示談交渉のみで解決しています。
また、相手保険会社にとっても、交通事故の被害者が弁護士に依頼することは日常茶飯事なので、弁護士に依頼したからといっておおげさだとか、大事にする必要はないのではと思われることもありません。
いずれにしても、交通事故を弁護士に依頼するというのは、おおげさでもなんでもなく、スムーズに示談交渉を進めるためのものであることが多いです。
デメリットとメリットを弁護士に相談して比較するのがおすすめ!
これまで見てきたように、交通事故を弁護士に依頼に依頼するデメリットというのは、ほとんどが心配する必要がないものであるといえます。
基本的にはデメリットよりもメリットの方がはるかに大きいからです。
ただし、メリットとデメリットのどちらが大きいかは、ケースバイケースなので一概には言えません。
特に、最初に説明した弁護士費用がかかるという点だけは注意が必要です。
弁護士費用特約がない場合には、弁護士費用を払うというデメリットを示談金が増額できるというメリットが上回るかどうかは、必ず事前に弁護士に相談するようにしましょう。
そのためには、弁護士に相談する時は、メリットだけを押しつけてくるのではなく、デメリットもしっかり説明してもらえる弁護士に相談してください。