【軽傷のケース】交通事故慰謝料をいくらもらった?轢き逃げの場合は?
最終更新日:2024年11月15日/投稿日:2022年9月15日/執筆者弁護士豊田 友矢
交通事故で怪我を負ってしまった。幸い骨折はなくて、打撲・捻挫やむちうちなどの軽傷だけど、慰謝料はいくらくらいもらえるのでしょうか?
軽傷でも轢き逃げのような悪質なケースでは慰謝料は増えるのでしょうか?
このような疑問を持った方のために、この記事では、軽傷の場合にもらえる慰謝料や示談金の額について解説します。
目次
軽傷の場合にもらった慰謝料の実例(弁護士依頼あり)
まず、当事務所の解決事例の中で、軽傷のケースではどれくらいの慰謝料をもらったのかを紹介します。
ここでは、打撲・捻挫・むちうち・切り傷など骨折していない怪我を軽傷ということにします。また、目安として、警察に提出するために病院でもらう診断書に、全治1ヶ月未満(例えば1週間、10日間、2週間、3週間など)になっている場合は軽傷といって良いでしょう。
慰謝料71万円のケース
慰謝料73万円のケース
慰謝料38万円のケース
慰謝料数万円のケース
軽傷の場合にもらった慰謝料の実例(弁護士依頼なし)
軽傷で弁護士に依頼しない場合には、保険会社から提示される慰謝料は自賠責基準の慰謝料であることがほとんどです。
そのため、弁護士に依頼していない方が実際にいくら慰謝料をもらっているかは、怪我の治療のための通院日数から算定可能です。
- 通院5回の人がもらった慰謝料→43,000円
- 通院10回の人がもらった慰謝料→86,000円
- 通院20回の人がもらった慰謝料→172,000円
- 通院30回の人がもらった慰謝料→258,000円
- 通院40回の人がもらった慰謝料→344,000円
- 通院50回の人がもらった慰謝料→430,000円
※全て通院頻度は週3回以下であることを前提としています。
軽傷場合の交通事故慰謝料の相場とは?
軽症の場合の慰謝料は、事故が原因の通院日数と通院期間によって慰謝料が変わってきます。
また、慰謝料の額は、保険会社から提示される自賠責基準と、弁護士を依頼したときに請求する弁護士基準の2種類があります。
そのため、軽症の場合の慰謝料は、通院期間が長くて、かつ、弁護士に依頼するなどして弁護士基準の慰謝料を請求する場合が、一番高い金額になることが通常です。
軽症の場合は、通院期間は、2週間から4ヶ月程度のことが多いかと思います。
これらの通院期間の、慰謝料の目安は以下の通りになります。
軽症の通院期間・頻度 | 自賠責基準 | 弁護士基準※ |
15日(週2回計4回) | 34,400円 | 95,000円 |
1ヶ月(週2回計8回) | 68,800円 | 190,000円 |
2ヶ月(週2回計16回) | 137,600円 | 360,000円 |
3ヶ月(週2回計24回) | 206,400円 | 530,000円 |
4ヶ月(週2回計32回) | 275,200円 | 670,000円 |
※過失がある場合は、最終的な取得額は減額されます。また、示談での早期解決目的や他の争点との関係でこれよりも減額されることもあります。
注意!単に通院するだけ慰謝料が増えるわけではない
注意しなければいけないのは、単に通院すればするだけ慰謝料がもらえるわけではないということです。
特に、打撲、捻挫等の軽症の場合、骨折などの重傷と違って、通院期間の妥当性が争われやすい傾向にあります。
慰謝料の算定対象となる通院期間というのは、実際に通院した期間ではなく、法律的に事故と相当因果関係がある通院期間に限られます。
そのため、いくら通院を継続したとしても、事故との相当因果関係が認められない限り、慰謝料が増えることはないのです。
そして、打撲・捻挫(むちうちなど)の軽症では、画像上の異常所見や他覚所見が得られないことが多いため、個別的な治療長期化の事情を証明することが難しいことが多いです。
そのため、因果関係が認められる通院期間というのが、「これくらいの事故でこれくらいの怪我ならば、普通の人はこれくらいの治療期間だろう」という一般論が重症の場合よりも重視される傾向にあります。
轢き逃げだと軽傷でも慰謝料・示談金が増額されるか?
轢き逃げにあって、怪我をした場合、軽傷でも慰謝料が高額になることはあるのでしょうか?
まず、弁護士に依頼しない場合に保険会社から提示される、自賠責基準の慰謝料では通院回数で慰謝料が決まるので、轢き逃げかどうかは慰謝料の金額には影響しません。
弁護士が示談交渉を行なう場合にも、轢き逃げであることを理由に、保険会社が慰謝料増額を認めることはほとんどない印象です。
ただし、裁判を行なった場合には、轢き逃げの悪質性によっては、慰謝料が増額されるケースもあります。悪質とは例えば人にぶつけたことをわかっていて故意に逃げた場合、しかも飲酒運転であった場合などです。ただし、軽傷であることを前提とした場合、轢き逃げであることによる慰謝料の増額分は、過去の裁判例からしても、せいぜい10~20万円程度にとどまるものと思われます。
軽傷でも弁護士に依頼した方が良いのか
軽症の場合でも、弁護士基準で慰謝料を請求することによって示談金を増額することができます。
そのため、弁護士特約がある場合には、軽症であっても弁護士に依頼した方が良いケースがかなり多いです。
他方で、弁護士特約がない場合には、弁護士費用以上に、慰謝料・示談金を増額できるかどうかが鍵になってきます。
これについては、▶軽微・軽症の交通事故でも弁護士に依頼した方がいい?弁護士費用で損しないか?の記事で詳しく解説しています。