通院7ヶ月の交通事故慰謝料はいくら?後遺障害によっては数百万~数千万も
最終更新日:2024年10月26日/投稿日:2022年8月4日/執筆者弁護士豊田 友矢
目次
通院7ヶ月の交通事故慰謝料の注意点
通院が7ヶ月に及んでいる場合は、骨折による痛み、可動域制限のリハビリをしている場合や、重度のむちうち症状のリハビリが長期化している場合、脳損傷による高次脳機能障害や脊髄損傷などのリハビリをしている場合などがあります。
特に、むちうち以外の骨折や脳損傷、脊髄損傷などで後遺障害が残る可能性がある場合は、慰謝料よりも後遺障害の程度によって金額が大きく変わってきます。
通院7ヶ月の通院慰謝料はいくらもらえる?
通常の怪我で保険会社から提示される額
保険会社からは特別の事情がない場合には、自賠責基準で慰謝料が提示されることが多いです。
この場合、通院7ヶ月の慰謝料は通院頻度によって、次の通りになります。
通院頻度 | 自賠責基準の通院7ヶ月慰謝料額 |
月2回(7ヶ月計14回通院) | 120,400円 |
週1回(7ヶ月計28回通院) | 240,800円 |
週2回(7ヶ月計56回通院) | 481,600円 |
週3回(7ヶ月計84回通院) | 722,400円 |
重傷だが通院回数が少ない場合に提示される額
自賠責基準で計算すると、重傷だが通院回数が少ない場合、軽傷で通院頻度が多い場合と比較して慰謝料の金額が低くなってしまいます。
そのため、重傷で通院頻度が少ないケースでは、保険会社からは自賠責基準ではなくて任意保険会社独自の基準で慰謝料が提示されることがあります。
この場合、通院7ヶ月だと、700,000円前後の慰謝料を提示されることが多いです。
弁護士に依頼した場合(弁護士基準)
弁護士基準の場合は、原則として通院日数ではなく通院期間で計算します。
そのため、通院頻度が違っても、慰謝料の金額は原則として変わりません。
また、打撲・捻挫・切り傷・むち打ち等の軽傷か、それ以外の骨折等の怪我かによって、慰謝料の金額が変わります。
ケガの種類 | 弁護士基準の通院7ヶ月慰謝料額 |
打撲捻挫・むち打ちなどの軽傷 | 970,000円 |
骨折など軽傷以外 | 1,240,000円 |
入院期間もある場合は慰謝料が上がる
これまで見てきた慰謝料額は、あくまで通院のみで入院がなかった場合の慰謝料額です。
通院期間が7ヶ月に及ぶ場合というのは、骨折などで手術のため入院をしているケースも多く、この場合慰謝料の額はさらに増額されます。
入院1ヶ月の後に通院6ヶ月した場合の慰謝料
自賠責基準では、通院1日も入院1日も慰謝料の金額は変わりません。
もっとも、通院日数に加えて、入院日数も慰謝料算定の日数に加算されるので、
退院後の通院頻度 | 入院1ヶ月+通院6ヶ月慰謝料額 |
月2回(入院30日+通院12日) | 361,200円 |
週1回(入院30日+通院24日) | 464,400円 |
週2回(入院30日+通院48日) | 670,800円 |
週3回(入院30日+通院72日) | 877,200円 |
この場合に弁護士基準で計算すると・・・
弁護士基準には軽傷の別表Ⅱと軽傷以外の別表Ⅰの2種類がありますが、入院を1ヶ月している場合は通常軽傷ではないので、別表Ⅰで算定することが通常でしょう。
そのため、入院1ヶ月、退院後通院6ヶ月の場合の、弁護士基準の慰謝料は、1,490,000円となります。
後遺症の慰謝料の方が高額になる(110万~2800万)
通院期間が7ヶ月に及ぶ場合は、単なる打撲・捻挫・切り傷等ではなく、骨折、靱帯損傷、脳損傷、頸髄損傷等の重傷を負っているケースも多いです。
また、骨折等はないむち打ち症であっても、後遺障害が認定される程度の重度のものである場合も多いでしょう。
この場合、これまで見てきた通院や入院の慰謝料よりも、後遺症による慰謝料の方がはるかに高額(弁護士基準で110万円~2800万円程度)になるケースがあります。
後遺障害が認められた場合の、後遺症慰謝料は以下の通りになります。
後遺障害等級 | 自賠責基準慰謝料 | 弁護士基準慰謝料 |
14級 | 320,000円 | 1,100,000円 |
13級 | 570,000円 | 1,800,000円 |
12級 | 940,000円 | 2,900,000円 |
11級 | 1,360,000円 | 4,200,000円 |
10級 | 1,900,000円 | 5,500,000円 |
9級 | 2,490,000円 | 6,900,000円 |
8級 | 3,310,000円 | 8,300,000円 |
7級 | 4,190,000円 | 10,000,000円 |
6級 | 5,120,000円 | 11,800,000円 |
5級 | 6,180,000円 | 14,000,000円 |
4級 | 7,370,000円 | 16,700,000円 |
3級 | 8,610,000円 | 19,900,000円 |
2級(別表第2) | 9,980,000円 | 23,700,000円 |
1級(別表第2) | 11,500,000円 | 28,000,000円 |
2級(別表第1) | 12,030,000円 | 23,700,000~円 |
1級(別表第1) | 16,500,000円 | 28,000,000~円 |
後遺症の補償は慰謝料以外にもある
通院7ヶ月が必要な怪我の場合には、後遺障害が認定されるケースがあるというのは先ほど説明したとおりです。
そして、後遺障害が認定された場合は、110万円~2,800万円の慰謝料に加えて、さらに逸失利益を請求できることもあります。
逸失利益は、事故当時の収入額や後遺障害等級とその内容などによって金額は大きく変わりますが、慰謝料の金額よりも遙かに高額になることも珍しくありません。
通院7ヶ月であれば弁護士特約がなくても依頼のメリットがある
通院を7ヶ月している場合は、過失が10:0から8:2位であれば、弁護士特約がない場合でも、弁護士に依頼する金銭的メリットが出てくるケースが多いです。
特に、入院期間がある場合や、後遺障害が認定される可能性がある場合は、弁護士費用を支払ってでも、かなりの金額がプラスになることがあります。
また、弁護士に依頼すれば、慰謝料の増額だけでなく、後遺障害等級認定の準備・被害者請求の代行、認定された場合の逸失利益の増額交渉なども行うことができます。
通院が7ヶ月に至った場合には、どの程度弁護士に依頼するメリットがあるのか、弁護士にご相談されることをおすすめします。