通院6ヶ月の交通事故慰謝料はいくら?むちうちor骨折、弁護士を入れるかの違い
最終更新日:2024年10月26日/投稿日:2022年7月27日/執筆者弁護士豊田 友矢
通院を6ヶ月したときの慰謝料はいくらもらえるのでしょうか?
この慰謝料の額は、一律で決まっているわけではなく、①怪我の内容、②通院の回数、③弁護士に依頼するかどうかによって変わってきます。
目次
- 弁護士を入れるかどうかで同じ通院6ヶ月でも慰謝料が変わる
- 自分で示談交渉する場合の通院6ヶ月の慰謝料額
- 任意保険基準の通院6ヶ月の慰謝料(重症の場合など)
- 弁護士が示談交渉する場合の通院6ヶ月の慰謝料額
- 怪我の内容によって同じ通院6ヶ月でも慰謝料が変わる?
- 通院回数によって同じ通院6ヶ月でも慰謝料が変わる?
- 注意!6ヶ月通院しても途中までの慰謝料しかもらえないことも
- 過失の程度によって同じ通院6ヶ月でも手元に入る慰謝料は変わる
- 入院期間があればさらに慰謝料は上がる
- 後遺障害が認定されれば慰謝料はさらに追加で110万円~2800万円
- 船橋シーアクト法律事務所では通院6ヶ月の事故被害者から多くの相談を受けています
弁護士を入れるかどうかで同じ通院6ヶ月でも慰謝料が変わる
同じ通院6ヶ月であっても、弁護士を入れるかどうかで慰謝料が変わります。
弁護士を入れた場合の慰謝料は弁護士基準で計算し、自分で交渉した場合の慰謝料は自賠責基準または任意保険基準で計算されるためです。
自分で示談交渉する場合の通院6ヶ月の慰謝料額
自分で示談交渉をする場合は、保険会社からは自賠責基準または任意保険基準での慰謝料しか提示されません。
特にむちうち・打撲・捻挫などの軽傷の場合は、自賠責基準での提示がなされることがほとんどです。
自賠責基準の通院6ヶ月の慰謝料
自賠責基準の慰謝料の計算方法は次の通りです。
4,300円×通院回数×2 ※ただし通院回数×2の上限は通院期間となります。
・週1(月4回)通院の場合自賠責基準の慰謝料額=4,300円×24回×2=206,400円
・週2(月8回)で通院の場合
自賠責基準の慰謝料額4,300円×48回×2=412,800円
・週3(月12回)で通院の場合
自賠責基準の慰謝料額4,300円×72回×2=619,200円※注意点
・週4以上で通院の場合
自賠責基準の慰謝料額4,300円×180日上限=774,000円※注意点
注意点
慰謝料・治療費・休業損害・交通費などを含めた総額が自賠責上限額の120万円を超える場合は、自賠責基準ではなく任意保険会社の独自基準で提案されることがあります。
この場合、慰謝料単体で見ると自賠責基準での計算を下回る提示となることが多いです。
特に、通院回数が週3回以上になると、自賠責の上限を超える可能性が高くなります。
任意保険基準の通院6ヶ月の慰謝料(重症の場合など)
骨折、脳損傷等の重症の事故で通院回数が少ない場合は、自賠責基準で計算すると、重傷であるのにもかかわらず10万円~40万円程度になってしまうことがあります。
この場合に、慰謝料額を引き上げるため、自賠責基準ではなくて任意保険基準での提示がなされることがあります。
弁護士が示談交渉する場合の通院6ヶ月の慰謝料額
弁護士が交渉する場合は、原則として通院回数ではなくて通院期間を元に慰謝料を計算します。
- 軽傷で通院6ヶ月の場合:890,000円
- 重傷で通院6ヶ月の場合:1,160,000円
通院回数が少ない場合は、例外的に実際の通院回数の3倍(軽傷の場合)または3.5倍(重傷の場合)が通院期間とされることがあります。
怪我の内容によって同じ通院6ヶ月でも慰謝料が変わる?
弁護士基準には、赤い本別表Ⅰと別表Ⅱという2種類の基準があります。
むち打ち症で他覚所見がない場合と軽い打撲・挫創(傷)の場合は、比較的金額の低い別表Ⅱを使います。
そのため先ほど見たように、同じ弁護士基準で、同じ通院期間であっても慰謝料の金額が異なってきます。
また、弁護士に依頼しない場合でも、先ほど見たように重傷の場合には任意保険基準での提案がなされることがあるため、重傷か軽症化によって慰謝料が変わるといえます。
通院回数によって同じ通院6ヶ月でも慰謝料が変わる?
自賠責基準の慰謝料は通院回数がベースになります
そのため、同じ通院期間6ヶ月でも、通院回数によって、慰謝料は約5万円(月1回通院の場合)~約70万円(週3~4回通院の場合)と大きな違いが生じます。
また、弁護士基準の慰謝料は、原則として通院回数は無視し、通院期間で算定しますが、先ほど説明したように例外的に通院回数が少ない場合は、慰謝料算定の通院期間が短くなることもあります。
そのため、同じ通院期間6ヶ月でも、通院回数によって慰謝料が変わることがあるのです。
注意!6ヶ月通院しても途中までの慰謝料しかもらえないことも
これまで見てきたように通院期間や通院回数で慰謝料が変わってきます。そうすると、とにかくたくさん通院すれば多くの慰謝料がもらえると考える方もいるかもしれません。
しかし、当然ですが現実はそんなに甘くありません。
慰謝料の計算の根拠になる、通院期間●ヶ月とか通院回数●回というのは、実は実際に通院した期間や日数のことではないのです。
あくまで、事故によるケガが原因の必要かつ相当な通院に限られます。
これは、法律的には「事故と相当因果関係がある治療」といいます。
過失の程度によって同じ通院6ヶ月でも手元に入る慰謝料は変わる
被害者にも過失がある場合には、これまで見てきた慰謝料の額がそのまま手元に入るとは限りません。
例えば、通院6ヶ月の弁護士基準の慰謝料が80万円だとして、過失割合が加害者70対被害者30の場合は、被害者の過失分である30%が減額されます。
注意しないといけないのは、減額される過失分というのは慰謝料だけでなく、既払の治療費や交通費の過失分も減額されるということです。
先ほどの例だと、慰謝料80万円が30%減額されての64万円になるだけではないのです。
さらに既払いの治療費などが50万円ある場合には、そのうちの30%の15万円も慰謝料から減額されてしまいます。
そうすると、結局手元に残るのは49万円の慰謝料ということになります。
ただし、自賠責基準で請求する場合て、しかも治療費や慰謝料をすべて合わせて120万円以内に収まる場合は、被害者に7割以上の過失がない限り過失による減額はありません。
入院期間があればさらに慰謝料は上がる
これまで見てきたのは、入院なしの通院6ヶ月の慰謝料です。
骨折などのケガを負い手術をする場合は、入院してから退院後に通院を開始することもあります。
このように入院期間がある場合は、これまで見てきた通院6ヶ月の慰謝料よりも、さらに慰謝料額が上がります。
例えば、骨折で入院1ヶ月後に通院を5ヶ月しているケースでは、弁護士基準の慰謝料は141万円になります。
骨折等で通院6ヶ月のみだと、先ほど見たように116万円が弁護士基準の慰謝料なので、これよりも増額しています。
後遺障害が認定されれば慰謝料はさらに追加で110万円~2800万円
通院6ヶ月の場合は、事故から6ヶ月後の時点でで治癒したのではなく、あくまで症状固定になったに過ぎないケースが多いです。
この場合、後遺障害が残存している場合には、後遺障害等級の申請をすることができます。
その結果、後遺障害等級が認定された場合には、その等級に応じて、これまで見てきた通院6ヶ月の慰謝料とは別に、追加で弁護士基準の後遺障害慰謝料として110万円~2800万円を請求することができます。
船橋シーアクト法律事務所では通院6ヶ月の事故被害者から多くの相談を受けています
通院6ヶ月のタイミングで、当事務所にご相談される方がかなり多いです。
これは、この時期は治療が終了するかどうかというタイミングで、慰謝料や後遺障害のことなどが気になる時期だからだと思います。
この時期にご相談いただいた場合は、後遺障害の認定可能性や、慰謝料額の見通しも含めて詳しくご説明させていただきますので、お気軽にご相談ください。