- 離婚時に家を売る場合の財産分与
- 離婚で家を売る場合の手順
- 離婚の財産分与と家にまつわるその他の問題
家を売らないで離婚する場合の財産分与の方法は、▶離婚時に【家を売らない】で財産分与する方法|ローンがある場合は?で解説しています。
離婚時に家を売る場合の財産分与
- 住宅ローンなしor完済している家を売る場合
- 住宅ローンありでアンダーローンの家を売る場合
- 住宅ローンあり(オーバーローン)の家を売る場合
住宅ローンなしor完済している家を売る場合
住宅ローンを完済しているのであれば、売却した代金が全て手に入るので、これを夫婦で分けることになります。
結婚後に夫婦が稼いだお金で頭金や住宅ローンを全て払っている場合は、基本的に2分の1ずつ分けることになります。
頭金やローンの一部を、結婚前に夫婦の一方が貯めたお金や親からの贈与などで払っている場合には、その分を考慮して、2分の1ずつにはしないことも多いです。
住宅ローンありでアンダーローンの家を売る場合
住宅ローンあり(アンダーローン)の場合に家を売却する場合には、売却代金で残ローンを完済することになります。
そして、売却代金からローン返済分や売却手数料等を引いて残った現金を夫婦で分けることになります。
頭金やローンの返済を、結婚後の夫婦の財産以外から支出していなければ、原則として2分の1ずつ分けることになるのは、ローンなしの家を売却したときと同じです。
住宅ローンあり(オーバーローン)の家を売る場合
自宅の売却額よりもローン残高の方が多い場合は、オーバーローンといいます。この場合、自宅を売却するには、一括で売却額とローン残高の差額を支払う必要があります。
なぜなら、銀行はローンが完済されない以上、原則として自宅に着いている抵当権を抹消してくれないのですが、抵当権がついたままでは買い手が見つからないからです。
例外的に、銀行の同意を得て、任意売却という方法で家を売却し、残高について分割で払う方法もありますが、ここでは省略します。
そうすると、基本的に、オーバーローン状態の家を売却して離婚する場合には、他の夫婦の共有財産でローン残高と売却額の差額を一括返済することになります。
例えば、家の売却額が1500万円、ローン残高が2000万円、夫の貯金が500万円、妻の貯金が500万円だとします。
このとき、自宅を売却して財産分与を行ないたい場合には、夫(の貯金で500万円の差額を支払った上で、最終的に残った妻の貯金500万円を、夫婦で250万円ずつ分けるのが公平でしょう。
離婚で家を売る場合の手順
- 住宅ローン残高を確認する
- 自宅の査定書を取って価値を確認する
- オーバーローンの場合は残債務をどうするか決める
- 不動産業者と媒介契約を締結する
- 内覧などの実施
- 売買契約締結・決済
- 売却代金からローン・手数料を引いた残額を夫婦で分ける
1 住宅ローン残高を確認する
ローン返済表などでしっかりと確認しましょう。
2 自宅の査定書を取って価値を確認する
不動産業者に査定書を依頼しましょう。複数社に頼むのがおすすめです。
オーバーローンの場合には、自宅を勝手に売却することが事実上できません。なお、不動産業者は実際に売れる金額よりもやや高めの金額で査定書を作ることが多いので、ギリギリの場合はオーバーローンだと思った方が良いでしょう。
3 オーバーローンの場合は残債務をどうするか決める
オーバーローンの場合、自宅を売却するには、銀行の同意を得ない限り、基本的に残額を一括で支払う必要があります。他の預貯金や親族の援助、借り入れにより完済可能かどうか検討しましょう。
どうしても、完済できない場合は、銀行と協議して任意売却できるかどうかを検討しましょう。
4 不動産業者と媒介契約を締結する
不動産業者と媒介契約を締結して、買い手を見つけてもらいましょう。
5 内覧などの実施
内覧を実施するには、家に住んでいる家族の協力が不可欠です。家に住んでいる配偶者が家の売却を拒否している場合には、内覧ができずに買い手が見つからないでしょう。
6 売買契約締結・決済
買い手が見つかったら、売買契約を締結して、決済します。この際に、ローンを完済して抵当権を抹消する必要があります。
7 売却代金からローン・手数料を引いた残額を夫婦で分ける
売却代金からローンと手数料を引いた残額を、夫婦で分けることになります。2分の1ずつにするのが原則ですが、頭金やローンの一部を、親族の贈与や結婚前の資金で払っていた場合には、その分を考慮して分けることも多いです。
離婚の財産分与と家にまつわるその他の問題
専業主婦でも家の財産分与はある?
専業主婦であっても、結婚後の夫の収入でローンを返済している場合は、家は夫婦の共有財産になります。
これについては、▶離婚のとき専業主婦が財産分与を受けるのはおかしいのか?を参考にしてください。
結婚前にかった家は財産分与の対象になる?
結婚前に買った家であっても、結婚後のローン返済を結婚後の収入で支払っている場合には、家の価値の一部について財産分与の対象になります。
家電・家具は財産分与対象になる?
理論的には家電・家具も財産分与の対象にはなります。ただし、その価値は購入金額ではなく、あくまで時価(買取金額になるでしょう)なので、高額な家電・家具でない限り、わざわざ考慮しないことが多いです。そのため家に住み続ける人がそのまま取得したり、処分するのであれば逆に処分費用を夫婦双方で負担することになります。