財産分与

離婚時に家具・家電は財産分与する?持ち出すとモラハラ配偶者と揉める?

離婚時に家具・家電はどうする
この記事でわかること
  • 離婚時家具・家電はどうする?
  • 勝手に持ち出してもいい?
  • 配偶者にモラハラ傾向がある場合は?
  • 離婚時の家具・家電の具体的な分け方
  • 親に買ってもらったものはどうする?

離婚時に家具・家電はどうする?

  • わざわざ財産分与の対象にはしない
  • 勝手に持ち出しても良いの?
  • モラハラ傾向があると家具・家電でも揉めやすい

わざわざ財産分与の対象にはしない

離婚の時、夫婦が利用していた家具・家電を、わざわざ財産分与の対象にすることは、基本的にありません。

なぜかというと、手間がかかるだけで、ほとんど意味がないことが多いからです。意味がないというのは、財産分与の金額にほとんど影響しないということです。

法的に財産分与の対象にする場合、対象財産の価値は、時価額で評価されます。そして、中古の家具・家電の時価額というのは、購入額ではなく、リサイクルショップなどの買取額・査定額で判断されるのが通常です。

そうすると、大した値がつかないことがわかるかと思います。大した値がつかないのであれば財産分与の金額にほとんど影響しないのです。

もっとも、アンティーク家具高級家電など相当高額で買取りされるようなものについては、査定を取った上で、財産分与の対象にすることもあるでしょう。

勝手に持ち出しても良いの?

財産分与の対象にしないのであれば、ほしい家具・家電を勝手に持ち出して良いかというと、そうともいえません。

法的に財産分与の対象にするかどうかという問題と、現実問題として家具・家電をだれが取得するかという問題は別の問題だからです。

もちろん、家具・家電の中でも自分しか使っていないものは、別居するときに持ち出しても問題ないでしょう。この場合は、持ち出した家電は、高価な物でない限り、持ち出した人がそのまま取得するのが通常です。

夫婦双方が利用していた家具・家電や、比較的高額な家具・家電については、勝手に持ち出すともめることがあります。できる限り話し合いのもと、どちらが何を取得するかを穏便に決めるのが良いでしょう。

既に別居している場合には、自分がほしい家具・家電のリストを作って書面でやりとりをするか、双方立ち会いの下に確認しながらどちらか何を取得するかを決めるのが良いでしょう。

モラハラ配偶者とは家具・家電で揉めやすい

財産分与の対象になる預貯金などの財産と比べて、一般的な家具・家電をどう分けるかで揉めることは、そこまで多くはありません。

ただし、もともと夫婦の一方にモラハラ傾向がある場合などは、家具・家電の分け方についても細かく要求があったり、勝手に持ち出した家電について、その分のお金を1円単位で返すよう求められることがあります。

このように、相手の性格によっては、一般的な家具・家電でもその分け方で揉めて、重要な離婚の条件に関する話がうまく進まなくなることもあるります。

もし、配偶者にモラハラ傾向がある場合には、可能な限り事前に話し合いをした上で家具・家電の分け方を決めるのが良いでしょう。

離婚時の家具・家電の具体的な分け方

家具・家電をどう分ける
  • まずは話し合いで欲しいものを分け合う
  • 親に買ってもらった家具・家電をどうするか?
  • いらない場合どうする?処分費用の負担は?

まずは話し合いで欲しいものを分け合う

基本的には、自分だけが使う家具・家電はそれぞれが取得し、それ以外のものは双方がほしいものを取得することになるでしょう。

ほしいものがかぶった場合は、お互い譲歩して、Aはあげるから、代わりにBはもらうなどと、自分が取得するものを決めていきます。

どうしても、分け方で話がつかない場合は、家具・家電をリサイクルショップで買い取ってもらって、その売却代金を折半するという方法もあります。これなら、少なくとも不公平感はなくなります。

また、夫婦の一方が家具・家電を全て取得し、もう一方は家具・家電は不用だけど、相手がタダで全部もらうのはずるいと考えて納得しない場合には、家具・家電の買取り価格を査定してもらい、その査定額の半分を相手に渡すという方法をとっても良いでしょう。

なお、既に別居しており、元の夫婦の家にあるものを運搬する必要がある場合には、その運搬費用は、運搬物を取得する人が全額負担するのが公平でしょう。

親に買ってもらった家具・家電をどうするか?

婚のとき親に買ってもらった家電・家具はどうなる?

親に買ってもらった家具・家電について、もし夫婦間でどちらが取得するかもめた場合には、お金を出した方の実子が取得すべきでしょう。

なぜかというと、親に買ってもらった家具・家電は、親から贈与を受けた預貯金と同様に、理論的・法的には特有財産なので、夫婦で分けるものではなく、贈与を受けた子が取得すべきものだからです。

もちろん、夫婦間で合意できるのであれば、お金を出した親の実子ではない方が、その家具・家電をもらっても良いです。既に贈与を受けており親の所有物ではないので、夫婦間で話がつけば、お金を出した親の承諾はいりません。

親からの贈与と特有財産の関係については、▶財産分与で親からの贈与や借金はどうなる?の記事を参考にしてください。

また、▶親に出してもらった家の頭金は離婚時に返してもらえるのか?についても解説しています。

いらない場合どうする?処分費用の負担は?

もともと夫婦が住んでいた家に、離婚後もどちらか一方が住み続けるのであれば、住み続ける側が残った家具家電を全て取得することが多いです。

ところが、離婚後に夫婦双方が引っ越す場合などは、夫婦双方が家具・家電をいらないと考えることも珍しくありません。

この場合、リサイクルショップに買取してもらえればよいのですが、多くの場合は廃棄処分費用がかかるだけで、マイナスになると思います。

この場合、廃棄処分費用を誰が負担するのか争いになることがありますが、夫婦で折半するのが公平でしょう。

まとめ:離婚と家具・家電について

離婚時に家具・家電をどうするかについて、これまでの説明のポイントをまとめると、次のとおりです。

  • わざわざ家具・家電の財産分与はしない
  • 勝手に持ち出さない方が良い
  • 特に相手にモラハラ傾向があると揉めやすい
  • 具体的な分け方は話し合いで
  • 親に買ってもらったものは普通は実子がもらう

 

ABOUT ME
弁護士豊田友矢
豊田 友矢
船橋シーアクト法律事務所の代表弁護士 千葉県弁護士会所属(第49837号) 交通事故・離婚・不貞慰謝料・遺産相続・中小企業法務等の相談を多数取り扱っている。