浮気をした有責配偶者も財産分与を請求できる?
- 有責配偶者から財産分与を請求するのはおかしい?
- 有責配偶者が請求できる財産分与の種類とは?
- 相手が離婚に応じなければ財産分与は発生しない
有責配偶者から財産分与を請求するのはおかしい?
有責配偶者とは、浮気やDVなど夫婦関係を破壊した配偶者のことです。
浮気をされた側からすれば、「浮気をした配偶者から財産分与を請求されるのはおかしい」と思うかもしれません。
ところが、離婚が成立するのであれば、浮気をした有責配偶者も財産分与を請求することができるのです。
有責配偶者が請求できる財産分与の種類とは?
3種類の財産分与
財産分与には、
- 夫婦が協力して貯めた財産を清算する生産的財産分与
- 離婚によりって生活に困る配偶者を助けるための扶養的財産分与
- 精神的苦痛を補償するための慰謝料的財産分与
の3種類があります。
①清算的財産分与は請求できる
このうちの①(清算)の財産分与については、夫婦が協力して貯めた財産を分けるものなので、浮気をしたからといって、請求できなくなる性質のものではありません。
そのため、有責配偶者でも①の意味の財産分与は請求することができるのです。
②扶養的財産分与は請求できない
他方で、②(扶養)の意味の財産分与については、浮気をした人が自分から離婚する原因を作っているのに、配偶者に対して離婚後の生活を助けてもらおうとするのはおかしいといえます。
そのため、有責配偶者が②の意味の財産分与を請求しても、認められることはほとんどありません。
③慰謝料的財産分与はケースバイケース
③(慰謝料)の意味の財産分与については、浮気をしていない配偶者の方も、何か別の不法行為なり、離婚の原因になることをした場合には認められる余地はあります。ただし、当然ですが浮気をした配偶者も、相手に対して慰謝料を払う必要があります。
例えば、妻が浮気したが、夫がDVをしたという場合には、妻は夫に対してDVを原因とした慰謝料を請求することができますが、夫も妻に対してDVを原因とした慰謝料を請求することができることになります。
相手が離婚に応じなければ財産分与は発生しない
有責配偶者も財産分与を請求することはできます。
ただし、財産分与というのはあくまで離婚が成立した場合に認められるものです。
ところが、有責配偶者の方から、一方的に相手に離婚を請求しても、相手が応じない限りは、離婚が認められるためにはかなり困難なハードルがあります。
そのため、相手が離婚に任意に応じない限り、有責配偶者の方から一方的に離婚を前提とした財産分与を請求しても、認められることは少ないでしょう。