- 養育費を女性が払う場合とは?
- 女性が払う養育費の相場と具体例
養育費を女性が払う場合とは?
- 養育費は女性(母親)が払う場合もある
- 離婚した女性の1割は養育費を払う側になるかも
- 専業主婦やパートでも養育費を払う?
- 女性の浮気と養育費をどちらが払うかは関係ない
- 女性の養育費の支払い率は1割未満
養育費は女性(母親)が払う場合もある
結論からいうと、女性(母親)が養育費を払う場合もあります。
たしかに、一般的には、養育費といえば男性(父親)が払うものであるというイメージが強いかとは思います。
本来、養育費を誰が払うかというのは、性別によって決まるものではありません。養育費というのは、子どもと別居している側が、子どもの監護をしている側へ払うものです。
もっとも、現実問題として、離婚後に子どもと同居して監護をするのは女性側であることが多いので、結果的に男性側が養育費を支払うことが多いというだけです。
つまり、男性が子どもを監護するのであれば、養育費を支払う必要があるのは女性なのです。
離婚した女性の1割は養育費を払う側になるかも
女性(母親)が養育費を払う側になる割合は、どれくらいでしょうか?
令和4年人口動態統によると、2022年に離婚した夫婦について、子ども1人の夫婦では、約12%の割合で男性(父親)が親権者となったとされています。
なお、子ども2人の夫婦では、約10%の割合で父親が全ての子の親権者に、子どもが3人の夫婦では約9%の割合で父親が全ての子の親権者になっています。
参照:令和4年人口動態統計上巻 離婚 第10.11表 親権を行う子をもつ夫妻の親権を行う子の数・親権者(夫-妻)別にみた年次別離婚件数及び百分率
このデータからすると、離婚した子どもがいる夫婦のうち、約1割は父親が親権者になっていることになります。
そうすると、離婚した女性の約1割は、養育費を支払う側になる可能性があります。
専業主婦やパートでも養育費を払う?
では、男性(父親)が親権者になった場合、女性(母親)は必ず養育費を支払う義務が生じるのでしょうか?
例えば、女性(母親)が専業主婦やパートだった場合はどうでしょうか。
専業主婦やパートの女性が離婚した場合、自分の生活で精一杯、自分の生活すらままならない状態で、養育費を払うことができるのかという問題です。
実は、養育費というのは、支払う側が無職の場合など、収入または稼働能力がない場合には、基本的に支払義務が生じないのです。
専業主婦だった場合
離婚時点で長年専業主婦をしていた女性(母親)が、離婚後直ぐに一定以上の収入を稼ぐことは難しいことが多いはずです。
この場合、離婚後しばらくの間は、収入や稼働能力がないため、養育費算定表上収入「ゼロ」とされ、支払い義務が生じないことになるでしょう。
パートだった場合
離婚時にパートをしており、一定度の収入があったとしても、その収入が低い場合には、養育費支払義務は生じないか、払うとしても月1万円程度に留まることが多いはずです。
例えば、14歳以下の子ども1人の場合の養育費は、養育費を払う側の収入が年125万円だと、養育費の金額が月額0円~1万円となっています。
つまり、パート収入として年125万円前後しか収入がない場合、養育費支払い義務はない(養育費0円)か、月額1万円程度に留まります。
専業主婦・パートの養育費について
このように、現実問題として、女性(母親)が養育費の支払義務を負うのは、もともと共働きで女性も一定以上の収入がある場合や、離婚後にフルタイムで働き始めたて収入が増えた場合などに限られるでしょう。
女性の浮気と養育費をどちらが払うかは関係ない
女性(妻)の浮気が原因で離婚になれば、女性であっても養育費を払わないといけないと考えている人もいるかも知れませんが、これは間違いです。
浮気が原因で離婚になれば、浮気をした側は慰謝料を払う必要がでてきますが、養育費の支払義務とは全く関係ありません。
男性(父親)と女性(母親)のどちらが浮気したとしても、養育費はあくまで子どもの監護をしていない方が払うことになります。
ただし、女性(母親)の浮気が原因で離婚になる場合、双方の合意のもと、男性(父親)を親権者とすることは結構あります。正確な統計はないのでわかりませんが、やはり女性(母親)浮気が原因で離婚に至ったケースの方が、性格の不一致などで離婚するケースよりも男性(父親)が親権を取得する割合は多い印象です。
そのため、女性(母親)の浮気が原因で離婚になり、合意のもと、男性(父親)が親権者となったことにより、女性(母親)が養育費を払う状況になるということはあります。
女性の養育費の支払い率は1割未満
女性の養育費の実際の支払い率はどれくらいでしょうか?
最新の厚生労働省の調査(参考:令和3年度全国ひとり親世帯等調査)によると、調査時点で養育費の支払いを受けている父子世帯(離婚または未婚)の割合は、8.7%に留まっています。
【父子世帯の母の養育費の受給状況】
父子世帯養育費支払い状況 | 総数 | 割合 |
現在も養育費を受けている | 9,191 | 8.7% |
養育費を受けたことがある | 5,008 | 4.8% |
養育費を受けたことがない | 90,277 | 85.9% |
不詳 | 659 | 0.6% |
(参考:令和3年度全国ひとり親世帯等調査結果報告表17-3-3)
このように男性(父親)が親権者となって子を監護している場合、女性の養育費の実際の支払い率は、1割未満であるといえます。
女性(母親)が親権者となったときの、男性(父親)の養育費の支払い率よりも大分低いといえます。
これは、先ほど説明したとおり、現代の日本社会では、離婚時に女性が専業主婦またはパートであることが多く、比較的収入が少ないため、父親が親権者になっても養育費支払義務が生じないことが多いからであると考えられます。
女性が払う養育費の相場と具体例
- 女性が払う養育費の相場とは?
- 女性が払う養育費の具体例
女性が払う養育費の相場とは?
女性が払う養育費の相場は、女性側(母親)と男性側(父親)の年収によって、大きく変わってきます。これは、男性が養育費を払う場合と同じです。
払う側が女性であっても、男性が払う側であるときと同じように、子どもの人数・年齢から算定表を選択し、双方の収入を当てはめれば、養育費の相場がわかります。
▶離婚後の養育費の相場と平均額はいくら?|年収別・子どもの人数別一覧
なお、統計上、現代日本では、女性は男性よりも収入が低いことが多いです。そのため、女性が払う養育費の相場は、男性が払う養育費の相場よりも低いことが多いかと思います。
なお、仮に養育費払う側の年収が、もらう側よりも低いとしても、養育費を支払う義務がなくなるとは限りません。
例えば、年収300万円の女性(母親)が、子どもを監護している年収1,000万円の男性(父親)に養育費を支払うというケースもあり得ます。
ただし、養育費を払う側の収入が低いのであれば、当然支払うべき養育費の相場も低くなります。
女性が払う養育費の具体例
父親が親権をとって子どもを育てている場合に、女性である母親が養育費を払う具体的なケースと相場観を紹介します。
子ども1人(小学生)、母親年収300万のケース
離婚して父親が親権を取得しました。子どもはまだ小学生ですが、父の両親が子どもの世話をしており、父親はこれまで通りフルタイムで働いています。
父親の年収は700万円、母親は300万円だとします。
このケースで、母親が払う養育費の相場は、算定表によると月2万円程度となります。
ちなみに、このケースで仮に父親の年収が300万円程度でも、1000万円あったとしも、母親の年収が300万円であれば、相場は月2万円となります。
子ども2人(小学生と中学生)、共働き双方年収1000万のケース
共働きで父親も母親も年収1000万円程度ある家庭も、現代では必ずしも珍しくありません。
このような、夫婦双方高収入の場合、女性である母親が払う養育費の金額もそれなりの金額になります。
このケースで、母親が払う養育費の相場は、算定表によると月10万円程度となります。
まとめ:女性が払う養育費の相場について
女性が養育費を払うケースについて、これまでの説明をまとめると次のとおりです。
- 女性(母親)が養育費の支払い側になることもある
- 養育費は子どもを監護していない方が支払う
- 女性が払う養育費の相場も、双方の収入次第
- 1割の家庭では離婚後に男性(父親)が子を監護する
- 女性(母親)による養育費の支払い率は1割未満