- 弁護士なしで離婚調停ができるかどうか?
- 弁護士なしで離婚調停をする人はどれくらいいる?
- 弁護士なしで離婚調停をするデメリット
- 弁護士なしで離婚調停をする人がいるのはなぜか?
弁護士なしで離婚調停ができるかどうか?
離婚調停をやるのに弁護士をつけないといけないという法律や決まりはありません。
なので、弁護士なしで自分だけで離婚調停をすることはできます。
それでも弁護士をつけるのはなぜなのか?どれくらいの割合で弁護士をつける人がいるのかを説明します。
弁護士なしで離婚調停をする人はどれくらいいる?
- 裁判所のデータをみてみると・・・
- 申立人側は約55%の人が弁護士に依頼
- 相手方側は約35%の人が弁護士に依頼
- 弁護士なしの割合は申立人側約44%、相手方側65%
裁判所のデータをみてみると・・・
裁判所のホームページに掲載されている家庭裁判所における家事事件及び人事訴訟事件の概況及び実情等によると、近年の離婚調停等における弁護士のあり・なしの割合は以下のとおりになっています。
令和2年の婚姻関係事件(離婚調停など)の弁護士あり・なし
双方なし | 申立人のみあり | 相手方のみあり | 双方あり |
39.2% | 26.5% | 5.1% | 29.2% |
申立人側は約55%の人が弁護士に依頼している
申立人側で弁護士に依頼している人の割合は、上記の表の内「申立人のみあり」と「双方あり」を合計した割合なので、26.5%+29.2%で合計55.7%になります。
つまり、2人に1人以上の人が弁護士ありで離婚調停をやっていることがわかります。
相手方側は約35%の人が弁護士に依頼している
申し立てられた側(相手方)で弁護士に依頼している人の割合は、上記の表の内「相手方のみあり」と「双方あり」を合計した割合なので、5.1%+29.2%で合計34.3%になります。
つまり、3人に1人以上が弁護士ありで離婚調停をやっていることがわかります。
ただし、離婚調停は相手方が調停をやることを拒否して出席しないこともあるので、実際に調停自体に応じる相手方に限れば、もっと弁護士を入れている人の割合は高くなるでしょう。
弁護士なしの割合は申立人側約44%、相手方側65%
逆に弁護士なしの人の割合は、申立人側が約44%、申し立てられた相手方側は約66%になります。
そうすると、申立人側では弁護士なしの人の割合は半分以下、相手方側では約3分の2ということになります。
弁護士なしで離婚調停をするデメリット
裁判所のデータを見るとかなり多くの人が、離婚調停をするのに弁護士を入れていることがわかります。
それでは、なぜ弁護士なしでもできるに、わざわざ弁護士に依頼しているのでしょうか?
実は、弁護士なしで離婚調停をすると、次のようなデメリットがあるのです。
- 気が弱いといいくるめられることも・・・
- 法的に有利な主張ができない
- 不利な条件になっていることに気づけない
- 弁護士に依頼するのは大げさだと考えている
気が弱いといいくるめられることも・・・
離婚調停では、調停委員が話し合いをまとめる役割を負っています。調停委員としてはできる限り調停は成立させたいと考えていると言うことです。
そうすると、ときには説得しやすい方を強く説得して話をまとめようとしてくることがあります。
つまり、もともと夫婦間で立場に上下関係があって、対等に凝議できずに調停にした場合であっても、気が弱くて強くでられない方に譲歩するように求められることがあるのです。
法的に有利な主張ができない
離婚問題というのは、お金のこと子供のことに関する法律が絡んできます。
ところが、弁護士を入れずに調停を行うと、法律論ではなくて、感情論や道徳論の主張がほとんどになってしまうことがあります。
そうすると、本来は自分に有利な法的な主張ができる場面であっても、そのチャンスを逃すことになってしまうのです。
不利な条件になっていることに気づけない
条件が不利かどうかと言うのは、感情の問題ではなくて、法律の問題です。
つまり、法律に従った条件と比較して、有利か不利かという問題なのです。
調停委員は、あなたに法律に従った条件を教えてくれることはあまりありません。
もっと悪いのは、調停委員は法律には詳しくないので、調停委員が「法律だとこうなる」「裁判例からするとこうなる」と言ったことが、間違っていることもあるということです。
このようなとき、弁護士なしだと、法律的には本当はどうなのか?ということが判断できません。
その結果、知らず知らずのうちに、法律に従った内容よりも不利な条件を受け入れてしまっていることがあるのです。
弁護士なしで離婚調停をする人がいるのはなぜか?
上で説明したとおり、弁護士なしで離婚調停をやるデメリットは、大きいです。
にもかかわらず、弁護士なしで離婚調停をやる人がいるのはなぜでしょうか?
私が見てきた中で言うと、以下のどれかのパターンがほとんどです。
弁護士費用が払えないor払いたくない
弁護士なしのデメリットに気づいていない
依頼する弁護士が見つからない
弁護士費用が払えないor払いたくない
まずは、弁護士費用が払えないor払いたくない人です。
もちろん、弁護士に依頼したら弁護士費用がかかります。
この弁護士費用を用意できない人は弁護士に依頼しません。
もっとも今は法テラスが利用できるので、手元に預貯金がなくとも弁護士に依頼することはできます。
それでも弁護士費用がタダになるわけではなく、分割で払っていく必要があります。
なので、分割でも弁護士費用を支払いたくないと考えている人は弁護士に依頼しないというのが正確でしょう。
弁護士なしのデメリットに気づいていない
離婚調停くらい簡単だ。弁護士に依頼しないでも問題ないと考えている人は、弁護士なしで離婚調停をします。
先ほど説明した弁護士なしのデメリットは、なかなか気づけないことも多いので、弁護士の必要性を感じていないのです。
依頼する弁護士が見つからない
依頼する弁護士が見つからないというケースもあります。あまり弁護士がいない地域に住んでおり、遠方に相談に行くこともできないという場合がまずあります。
ただ、このケースで一番多いのは、本人が明らかに法律に反する主張を強く希望しているために、弁護士が依頼を受けられないケースでしょう
弁護士に依頼するのは大げさだと考えている
離婚問題は、家族内の問題だから、家族だけで解決できると考えている人です。
申し立てられた側で弁護士をつけない人に多いと言えます。
また、夫婦間で立場が強い方も、もともと自分の思うままに相手を従わせてきた経験から、弁護士を入れる必要がないと考える人もいます。