弁護士相談コラム

弁護士相談で使う時系列表の書き方|テンプレート付

時系列表の書き方

弁護士相談をするときには、事前に相談したい内容に関する「時系列表」をつくって、持って行くと、相談がスムーズに進むことが多いです。

ここでは、弁護士相談に便利な「時系列表」をより便利なものにする書き方を解説します。

また、最後に時系列表テンプレートも用意したので参考にしてください。

時系列表の書き方のコツ

①いつ②誰が③どこで④誰に対して⑤何をしたかを書く

全ての文にこの①~⑤の要素を入れようとすると、冗長になったり、多少不自然な日本語になるかも知れませんが、それでかまいません。

小説や作文を書いているわけではないので、日本語としての善し悪しよりも、多少無理してでも、できる限り全ての文にこの①~⑤の要素を入れてください。その方が、事実を正確に把握することができます。

例えば、不倫・離婚の相談を例に挙げると、

  • 2023/4~ 夫は帰宅時間が遅い日が増える
  • 2023/5~ 私は夫の浮気を疑いはじめる
  • 2023/6/15 私は興信所に夫の浮気調査を依頼した
  • 2023/6/30 興信所が●駅近くで夫が女性とホテルに出入りする写真をとった
  • 2023/7/3 私は興信所から証拠の写真を受け取った
  • 2023/7/4 私は夫に対して浮気してないか問い詰めた。それに対して、夫は浮気を否定した。証拠はまだ見せていない。

みたいな感じです。

今回の例では、わかりやすい単純な事実だけなので、この文に「私は」という部分がなくても理解できます。ところが、複雑な内容になってくると、主語など①~⑤の一部が抜けるだけで、大きな誤解が生じる可能性があるので、多少無理してでも①~⑤を入れてください。

実際にあった事実と、意見・予想を混ぜない

これは慣れていないと結構難しいのですが、「実際にあった事実」と、「あなたや関係者の意見・予想」を混ぜないようにするということです。

例えば、不倫や離婚の相談で、

  • 2020/1~6:この間夫は家に帰るのが遅かったので、浮気していたはず

これは、「家に帰るのが遅かった」という事実と、「浮気していたはず」というあなたの意見・予想が混ざってしまっています。

これくらいの長さの文章であれば、直ぐに事実と意見を分けて理解できますが、もっと長く複雑な文になると、分けるのに苦労します。

そもそも、なぜ事実と意見・予想を混ぜない方が良いかというと、弁護士は相談中に事実と意見・予想を分類する癖があるからです。これは、裁判用の文書など弁護士が作成する文書では、基本的に事実と意見を分ける必要があるからです。

なお、意見・予想と事実を「混ぜてはいけない」だけで、意見・予想を書いてはいけないわけではありません。むしろ書いてくれた方が、わかりやすいことも多いです。

以下のように分けて書くのがベストです。

  • 2020/1~6:この間夫は家に帰るのが遅かった※事実
  • →私は、このときから夫は浮気をしていたと思う※意見・予想

できる限り箇条書きか短い文にする

時系列表を見ながら相談したり、短時間で弁護士が目を通せるように、1つの文は、できる限り箇条書きで短い文にした方が良いです。

「●●に、私が●●して、そのとき●●が●●になって・・・」

とずっと続いていくと読みにくいです。少し不自然なくらい短い分にするのがコツです。

パソコンやスマホで作成してプリントアウトする

手書きよりも、パソコンやスマホで作成してプリントアウトする方がおすすめです。

手書きよりも読みやすいことが多いですし、何よりも作成中に、後から既に書いた時系列の間に入れたくなるものが出てくるからです。

パソコンやスマホであれば、後からいくらでも、既に書いた時系列の間に新たな項目を追加することができます。

人から聞いたことは聞いた時点の時系列に入れる

人から聞いたことについては遡って時系列に入れない方がわかりやすいです。

例えば、「2024/5/30に夫に問い詰めたところ、1年前から浮気をしていることを認めた」という場合に、

  • 2023/5~2024/5 夫が浮気していた
  • 2023/6 夫が浮気を認めた

というように書いても間違いではないのですが、夫が話した「1年前から浮気していた」というのがそもそも本当かどうかわからないので、時系列表としては

  • 2023/6 夫が1年前から浮気していたと認めた

と実際にあった事実だけ書くのが良いでしょう。

夫の発言から時系列表を過去に遡って、あたかも実際に確定した事実のように記載するのはわかりにくくなるのでやめた方が無難です。

証拠がある場合には証拠の内容を書く

こちらに有利or不利な事実について、証拠があるかどうかは大きな問題です。そのため、相談時には必ず証拠の有無について聞かれることになるでしょう。

そこで、時系列表に証拠の有無もまとめて記載してしまうのがオススメです。

例えば、

  • 2023/5~2024/5 夫が浮気していた

と事実を箇条書きで書いた上で、その事実毎に、

  • これはLINEのやりとりの証拠がある
  • これは不倫相手の一筆がある
  • これは興信所の証拠がある

などと事実毎に証拠があるかどうかを書くとよりわかりやすいです。

登場人物が多い場合には、別に人物関係図も作成する

出てくる登場人物が多い場合、具体的には4人か5人以上になる場合には、時系列表とは別に人物紹介項目も付けると良いです。

例えば、不倫・離婚の相談で言うと

  • 夫:●●(名前)
  • 妻(私):●●
  • 不倫相手:●●※夫の同僚
  • 不倫相手の妻:●●

のような感じです。4人くらいであれば、なくても特に問題ありませんが、5人、6人、7人と登場人物が増えてくると、相談者にとっては当たり前のことでも、初めて話しを聞く弁護士は名前を相談中に覚え切れないことがあるためです。

例えば、

相談者が「このとき●●さんが・・・」と話しても、登場人物が多いと弁護士的には「●●さんってどの人だっけ?・・・」となってしまいスムーズに相談が進みません。

そこで、時系列表とは別の紙に、登場人物の関係性と名前を書いた紙があるとベストということになります。

時系列表のテンプレート

ダウンロードはこちら

時系列表_テンプレート(Word版)

時系列表_テンプレート(PDF版)

ABOUT ME
弁護士豊田友矢
弁護士 豊田 友矢
船橋シーアクト法律事務所の代表弁護士 千葉県弁護士会所属(第49837号) 交通事故・離婚・不貞慰謝料・遺産相続・中小企業法務等の相談を多数取り扱っている。