- 訴訟費用を請求する訴訟費用額確定処分とは?
- 訴訟費用額確定処分の流れ
- 訴訟費用額確定の申立書と計算書の書式
訴訟費用額確定処分とは?
裁判を経て、「訴訟費用は●●の負担とする」というような判決を手に入れても、それだけでは、訴訟費用を相手に請求することはできません。▶「訴訟費用は被告の負担とする」の意味は?訴訟費用の負担について
なぜなら、この時点では、訴訟費用の負担割合が決まっているだけで、具体的な金額が決まっていないからです。
相手に訴訟費用を請求するためには、訴訟費用の具体的な金額を確定する必要があります。このために必要な手続を訴訟費用額確定処分といい、裁判所へ書面を提出して行ないます。
訴訟費用額確定処分の流れ
訴訟費用額確定処分の流れ
- 判決が確定する
- 申立書と費用計算書を作成する
- 申立書と費用計算書を第一審の裁判所へ送る
- 申立書と計算書を相手へも送る
- 裁判所から相手方に催告書が送られる
- 具体的な訴訟費用額が計算される
- 訴訟費用額確定処分が出される
以下、詳しく解説します。
1 判決が確定する
訴訟費用額確定処分は、訴訟費用の負担を定める裁判が執行力を生じた後でないと行なうことができません(民訴法71条1項)。そのため、通常は、判決が確定してから行ないます。
2 申立書と費用計算書を作成する
訴訟費用確定処分の申立ては書面で行なう必要があります。
①申立書と②費用計算書が必ず必要になります。その他に③疎明資料が必要となることもありますが、通常は①と②だけで大丈夫です。
裁判所へ提出する分と相手に送る分が必要なので2部ずつ作成します。
3 申立書と費用計算書を第一審の裁判所へ送る
訴訟費用額確定処分の申立書と計算書は、控訴や上告をしていても、「第一審」をした裁判所へ提出します。また、宛名は、裁判所や裁判官ではなく、「裁判所書記官」です。
裁判を訴えるときとは違い、申立手数料は無料なので、収入印紙の貼付は不要です。ただし、送達用の郵便切手は必要となります。いくらの切手を同封するかは裁判所へ事前に連絡して聞くのが良いでしょう。この切手代(送達費用)も訴訟費用に加算できます。
4 申立書と計算書を相手へも送る
申立人は、書記官(裁判所)へ提出した申立書と費用計算書を、相手に対しても直接送る必要があります(民訴規則24条2項、47条1項)
5 裁判所から相手方に催告書が送られる
相手方が全ての訴訟費用を負担すべき場合で、訴訟費用の負担額が明らかな場合は、催告書が送られないこともあります。
6 具体的な訴訟費用額が計算される
双方が負担する費用がある場合(例えば、申立人が5分の1、相手方が5分の4負担する場合など)、相手方も費用の計算書を提出した場合には、相殺して差額が計算され、最終的な金額が確定します。
7 訴訟費用額確定処分が出される
相手方は、申立人に対し、●円支払え |
という確定処分が出されて、双方に送付されます。
訴訟費用額確定の申立書と計算書の書式
申立書の書式
「訴訟費用は被告の負担とする」とされた場合の書式例です。
訴訟費用額確定の申立書 令和●年●月●日 ●●地方裁判所民事部 裁判所書記官 殿 申立人 ●● ●● ㊞
〒(住所)●●●● 申立人(原告) ●● ●● 〒(住所)●●●● 相手方(被告) ●● ●●
上記当事者間の御庁令和●年(●)●号●●事件について、令和●年●月●日、原告勝訴、訴訟費用は全部被告負担の判決があり、上記判決は、既に確定したので、被告が負担すべき訴訟費用額を別紙計算書のとおり金●円と確定されるよう、別紙計算書および疎明書類を添えて申し立てます。 添付書類 1 計算書 1通 2 疎明資料 各1通 |
(別紙)計算書の書式
(別紙)
計算書
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どのような訴訟費用をいくら計上できるかは、ケースによって異なります。詳しくは、▶民事の訴訟費用一覧|計算方法や相場も解説の記事を参考にしてください。