ダブル不倫の慰謝料請求
不倫をした当事者の双方が既婚者であった場合をダブル不倫といいます。
このようなダブル不倫のケースでは、慰謝料請求の当事者が、双方の夫婦の4人存在することになり、この4人の関係性を巡って様々な問題が生じます。
ここでは、ダブル不倫の慰謝料請求問題について解説します。
ダブル不倫の慰謝料請求関係
ダブル不倫の場合は次の4人が登場人物になります。
- 浮気された妻Aさん
- Aの夫である浮気したBさん
- 浮気相手の女性Cさん
- Cの夫であるDさん
この場合不倫慰謝料を請求できる関係は次の通りになります。
1 AB夫妻のみが離婚する場合
- Aさん→Cさん(離婚を伴う不倫慰謝料)
- Dさん→Bさん(離婚しない不倫慰謝料)
- Aさん→Bさん(浮気による離婚の慰謝料)
2 CD夫妻のみが離婚する場合
- Aさん→Cさん(離婚しない不倫慰謝料)
- Dさん→Bさん(離婚を伴う不倫慰謝料)
- Dさん→Cさん(浮気による離婚慰謝料)
3 AB夫妻とCD夫妻の双方が離婚する場合
- Aさん→Cさん(離婚を伴う不倫慰謝料)
- Dさん→Bさん(離婚を伴う不倫慰謝料)
- Aさん→Bさん(浮気による離婚慰謝料)
- Dさん→Cさん(浮気による離婚慰謝料)
4 AB夫妻もCD夫妻も離婚しない場合
- Aさん→Cさん(離婚しない不倫慰謝料)
- Dさん→Bさん(離婚しない不倫慰謝料)
このように、ダブル不倫の場合は慰謝料を請求する相手と慰謝料を請求される相手が複雑になります。
ダブル不倫で慰謝料請求する注意点
あなたがAさんの立場で、Bさんとは離婚しないで、Cさんにだけ慰謝料請求するとします。
そうすると、CD夫妻にCの浮気の事実がばれて、Dさんからあなたの夫であるBさんに慰謝料請求がされる可能性があります。
AB夫妻の財布が一つである場合、結局Cさんからもらった慰謝料をDさんに慰謝料として払うことになり、あまり意味がなくなってしまいます。
したがって、この場合にはあえて慰謝料を請求しない方が良いこともあります。
それでも慰謝料を請求した方が良いケースとしては、次の二つが考えられます。
既にDさんからBさんに慰謝料請求をされている場合
この場合は、AさんがCさんに慰謝料請求する方が良いです。
CD夫妻が離婚せずにかつCD夫妻の財布が一つであれば、お互い慰謝料を払いあっても意味がないので、Cさんへの慰謝料請求を取り下げる代わりに、Bさんが慰謝料を払わないでも示談ができる可能性があるからです。
また、CD夫妻が離婚するとしても、Bさんが払う慰謝料相当分をCさんから回収できる可能性があるからです。
Bさん払う慰謝料よりもCさんの払う慰謝料の方が高くなりそうな場合
この場合は、AさんがCさんに慰謝料請求するのも良いと思います。
ただし、法律的に慰謝料はいくらが妥当かということや回収可能性の点も含めて、慰謝料をいくら払ってもらえるかを確実に事前に予測することは困難であるため、難しい判断となります。