- 民事裁判の訴訟費用って何?
- 訴訟費用って弁護士費用とは違うの?
- 訴訟費用を相手に請求できるって聞いたけど?
民事裁判の訴訟費用とは?
- 日常用語の「訴訟費用」と「弁護士費用」は同じ
- 法律用語の「訴訟費用」と「弁護士費用」は違う
- 日常用語の「訴訟費用」は相手に請求できない
日常用語の「訴訟費用」と「弁護士費用」は同じ
法律相談などで、
- 「この件の訴訟費用はいくらかかりますか?」
- 「訴訟費用は相手に請求できないのですか?」
と質問を受けることがあります。
実は、このようなときに使われている「訴訟費用」という言葉は、法律用語の訴訟費用ではなくて、日常用語の訴訟費用です。
この日常用語の訴訟費用という言葉は、
「裁判を依頼するのにかかる弁護士費用と実費」
みたいな意味で使われていることが多いです。
他に「裁判費用」という言葉も同じような意味で使われていることが多いです。
先ほどの日常用語の「訴訟費用」の使用例だと、
- 裁判を起こすための弁護士費用や実費はいくらになるのか
- その費用を相手に負担してもらえるのか
ということを知りたいのだということがわかります。
法律用語の「訴訟費用」と「弁護士費用」は違う
一方、訴状の請求の趣旨や判決書の主文などで、
「訴訟費用は被告の負担とする」
というときに使われているのは、日常用語の訴訟費用ではなくて、法律用語の訴訟費用です。
先ほど説明したとおり、日常用語の訴訟費用という言葉が「弁護士費用」とほとんど同じ意味で使われていることから、勘違いをしてしまう人がいるのですが、実はこの法律用語の「訴訟費用」に弁護士費用は一切含まれません。
法律用語の訴訟費用というのは、「民事訴訟費用等に関する法律」に定められている費用のことです。どのような費用が定められているのか簡単に言うと、弁護士費用以外の「裁判をするための実費」みたいなものです。
厳密に言うと実費とはいえないものもあるのですが、金額的にもほとんどが裁判をするための実費だと考えてもらえれば良いかと思います。
この法律用語の訴訟費用に含まれる項目一覧を知りたい方は、▶民事の訴訟費用一覧|計算方法や相場も解説の記事を参考にしてください。
日常用語の訴訟費用は相手に請求できない
日常用語の訴訟費用、これはほとんど「裁判をするための弁護士費用」の意味で使われていることは先ほど説明しました。
この裁判のための弁護士費用を、相手に負担してもらうように請求することは、原則としてできません。
例外的に、不法行為による損害賠償請求の裁判の場合には、「弁護士費用」という項目を相手に請求することができます。▶弁護士費用を相手に請求できる?慰謝料請求や事故の示談交渉の場合は?
ただし、これも「実際にかかった弁護士費用」ではなくて、判決で認容された損害額の約1割だけが認められるにすぎません。この認容額の1割というのは、実際にかかった弁護士費用よりもかなり低額であることが通常です。
ですので、日常用語の「訴訟費用」=「裁判をするための弁護士費用」を相手に負担させること基本的に不可能と言っても間違いではないでしょう。
まとめ:訴訟費用と弁護士費用との違い
これまでの話しをまとめると次のとおりです。
- 訴訟費用という言葉には日常用語と法律用語がある
- 日常用語の訴訟費用は「弁護士費用」の意味なので勘違いしやすい
- 法律用語の訴訟費用に弁護士費用は含まれない
- 法律用語の訴訟費用だけ相手に請求できる
- 法律用語の訴訟費用は裁判をする実費みたいなものだけ
一口に「訴訟費用」といっても、日常的に使われているときと、弁護士や裁判所が使うときで、意味が全然違うので注意しましょう。
裁判所が使う法的・公的な「訴訟費用」には弁護士費用が含まれておらず、「訴訟費用」を相手に請求できても、「弁護士費用」は相手に請求できないということになります。