このページの結論
- 相場を超える金額が認められた裁判例は、確かにあります。
- 共通するのは、子どもができたこと、関係が長く続いたことです。
- いずれも事情が重なった例外で、通常はこの金額になりません。
不倫慰謝料の相場は50万円から300万円で、その多くは100万円から200万円のあいだに収まります。
受けた苦しみに比べて低すぎる、と感じる方は少なくありません。実際に、この範囲を超える金額が認められた裁判例もあります。どういう場合に高くなるのかを知れば、ご自身の事案がどこに位置するかの見当がつきます。
高額になった裁判例に共通すること
個別の事例を見る前に、共通点を挙げます。この2つのどちらか、または両方が当てはまっています。
| 共通点 | なぜ高くなるか |
|---|---|
| 子どもができた | 夫婦の関係が壊れるだけでなく、家族の形そのものが変わります。相手の子と知らずに育てた、という事情が加わることもあります。 |
| 関係が長く、いまも続いている | 一時の過ちではなく、継続して夫婦の生活を侵していたと評価されます。やめる意思がない場合はなおさらです。 |
逆に言えば、期間が短く、子どももできていない事案では、相場を大きく超えることはまずありません。不倫の内容がどれほど悪質に感じられても、金額に反映されるのは限られた事情だけです。
不倫慰謝料が高額になった裁判例
400万円 夫から、妻の不倫相手へ
不貞の期間は1年2か月。次の事情が重なりました。
- 妻が、不倫相手との間の子を妊娠した
- 不貞により夫婦は別居し、離婚調停中となった
- 不貞関係は、その時点でも続いていた
- 不倫相手が離婚をすすめ、別居先のアパートまで選んでいた
- その別居先の費用を、夫に支払わせていた
- 不倫相手に反省が見られなかった
- 夫婦の間に幼い子がいた
単に関係を持ったのではなく、不倫相手が夫婦を引き離す側に回っていた点が重く見られています。
東京地裁 平成22年10月7日判決
500万円 夫から、妻の不倫相手へ
- 妻と不倫相手との間に子が生まれた
- 夫は、その子を自分の子と疑わずに育てていた
- DNA鑑定で不倫相手の子と判明しても、相手は認めなかった
- 夫婦は離婚した
他人の子を自分の子として育てさせられたという点が、金額を押し上げています。判明後も相手が事実を認めなかったことも考慮されました。
東京地裁 平成21年1月26日判決
500万円 妻から、夫の不倫相手へ
- 夫は亡くなるまでの20年間、毎日のように不倫相手の自宅へ通っていた
- 夫と不倫相手との間に、子が2人いた
- 不倫相手は近所に住んでいた
- 妻は、隠し子や愛人がいるという周囲の噂に長年悩まされていた
20年という期間に加え、近所に住んでいたために周囲に知られていたことが、妻の受けた苦痛として評価されました。
東京地裁 平成19年7月27日判決
500万円 妻から、夫の不倫相手へ
- 不貞の期間が4年に及んだ
- 不倫相手は、関係をやめるつもりがないと述べていた
- 夫と不倫相手との間に、子が2人生まれた
- 夫は医師、不倫相手は看護師という関係だった
期間の長さ、子が2人いること、関係を続ける意思を明言していたことが重なりました。
東京地裁 平成18年3月31日判決
これらは例外です
同じ金額を期待できる事案は、多くありません
4件はいずれも、複数の事情が重なった結果です。ひとつ当てはまるだけでは、この金額になりません。相場に納得がいかないお気持ちは自然なものですが、金額は受けた苦しみの大きさをそのまま映すものではなく、法律上考慮できる事情の積み重ねで決まります。
また、高い金額が認められても、相手に支払う資力がなければ受け取れません。裁判で勝つことと、実際に回収することは別です。判決を得るより、支払える範囲で早く示談したほうが、結果として手元に残る場合もあります。
ご自身の事案でいくらを求めるべきかは、事情を整理してみないと分かりません。不倫慰謝料の相場とあわせてご覧ください。
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