内々定をもらっていたのに、急に取り消されてしまったんだ。
こんなことってあるの?
- 内々定取り消しの実際の事例
- 内々定取り消しの対処方法
内々定の取消「信じていたのに、裏切られた!」
今回は、内々定をもらって安心していたら、内定日のわずか数日前に内々定を取り消されてしまった。入社できると信じていたのに、裏切られてしまったという事例を紹介します。
説明会、適性検査、面接試験を受けたNさん
Nさんは、大学4年で就活シーズンに入りました。
そして、×年4月にX社の就職説明会に行きました。
こうして、Nさんは、X社の適性試験と面接試験を通過して、5月ついに最終面接まで進んだのです。
ついに内々定をゲット!
そして、×年5月30日・・・
X社からNさんに次のような通知が届きました。
採用内々定のご連絡
今回は当社求人へご応募頂き誠にありがとう御座いました。厳正なる選考の結果、貴殿を採用致すことを内々定しましたのでご連絡致します。
正式な内定通知授与は×年10月1日を予定しております。
Nさんはすぐに同封されていた入社承諾書をX社に返送しました。
入社承諾書
貴社に入社しますことを承諾致します。
リーマンショックによる景気の急激な悪化
ところが、その後リーマンショックによって景気が急激に悪化したのです。
Nさんは、
と少し不安になりました。
もっとも、その後7月30日、X社の説明会に行くとNさんの不安は消え去りました。
説明会でX社の担当者から、
と言われたのです
また、9月25日には、X社からNさんに、予定通り10月2日に内定通知授与を行うと電話が来ました。
これでNさんは完全に安心しきっていました。
ところがわずか4日後に内々定取り消しの連絡が・・・
会社説明会で安心してからわずか4日後に、会社からいきなり次のような手紙が届きました。
採用内々定の取り消しのご連絡
来年度の新規学卒者の採用計画を取り止めることといたしました。
つきましては、採用内々定の件、誠に申し訳御座いませんが、取り消しさせていただくことになりました。
大変残念な結果となりましたが、何卒、弊社の事情をご賢察いただけますようお願い申し上げます。
Nさんは、急な内々定取り消しにショックを受けてどうすれば良いかわからなくなりました。
X社に抗議のメールを送ったりしましたが、詳しい説明は一切なく、ついにX社に入社することはできませんでした。
とX社に対して裁判を起こしました。
裁判で内々定取り消しは違法だと訴える
Nさんは、地裁・高裁と裁判で争いました。
就職が遅れたことによる1年分の収入と、精神的苦痛の慰謝料を求めたのです。
そして、裁判所から次のような判決が出たのです。
判決
- X社はAさんに慰謝料を50万円払え。
- 就職が遅れたことによる収入は払う必要はない。
理由
- Nさんに入社できると期待を抱かせたのはいけない
- しかもNさんはX社に入社できると信じて就活を辞めた
- X社は内定日の直前までNさんに内々定取消を教えなかった
- だから、慰謝料は払う必要がある
- でも、内々定は、内定と違って労働契約は成立していない
- だから、就職が遅れた分については補償する必要はない
※注意点 以上の事例は、実際の裁判例を一部改変しています。また、一般の方にわかりやすいように、裁判の結果とその理由は簡略化しています。
内々定の取消にあったら就職活動を再開し、会社とは戦うのも視野に!
Nさんの事例でみたとおり、内々定は、内定とは違います。違法に取り消しをされたときに裁判で争っても、その会社には入社できない可能性が高いです。
なので、少しでも損失を減らすためにも、内々定を取り消されてしまったら、すぐに就活を再開しないといけません。
また、会社と戦えば慰謝料をもらえる可能性もあります。
もちろん、会社と戦ってでも、入りたい会社の場合には、入社を目指して争うこともあり得ます。