弁護士費用コラム

弁護士費用一覧表と計算方法|着手金・報酬金の経済的利益とは?

弁護士費用一覧表と計算方法について

弁護士費用はどの弁護士に頼んでも同じ金額なのでしょうか?

例えば、健康保険を利用して病院や歯医者へ行く場合、どこの病院へいったとしても、治療費が大きく変わることは基本的にありません。

昔(2004年まで)は、弁護士費用も一律の基準で計算することになっていた。ところが、現在では弁護士費用は自由化され、依頼者と弁護士が自由に契約で決めて良いことになっています。

ところが、弁護士事務所のホームページで公開されている弁護士費用のページを見てみても、「弁護士費用の種類がたくさんあって結局いくらになるのかわかりにくい」、「「経済的利益」の意味がわからない」という声も多いです。

そこで、今回は弁護士費用の計算方法について詳しく解説します。

この記事でわかること
  • 弁護士費用一覧表と3種類の計算方法
  • 着手金・報酬金方式の計算方法
  • タイムチャージ方式の計算方法
  • 手数料方式の計算方法

弁護士費用一覧表と3種類の計算方法

弁護士費用一覧表

この一覧表のとおり、弁護士費用には、相談料、着手金、報酬金、実費、日当、時間制報酬、手数料があります。

また弁護士費用の計算方法は、次の3種類です。

弁護士費用の計算方法

この①着手金・報酬金方式、②タイムチャージ方式、③手数料方式について、もっともよくある方法の①を中心に、具体的な内容と計算方法を解説します。

着手金・報酬金方式

着手金・報酬金方式とは、弁護士費用を着手金と報酬金に分けて支払う方法です。

通常は、着手金と報酬金をそれぞれ1回ずつ払います。ただし、交渉を依頼した後裁判も依頼するなど、段階的に追加着手金が発生する場合もあります。この場合は着手金を複数回支払います。

また、報酬金の支払も通常は1回ですが、報酬金の発生する複数の条件を定めている場合には、段階的に複数の報酬金を払う場合もあります。

このような着手金・報酬金方式は、弁護士に依頼した結果が不確定で成功・不成功があり得る場合に使われることが多いです。

着手金とは?

着手金というのは、成功・不成功や成功の程度にかかわらず必要な費用です。

着手金を支払うタイミングは、契約で決まりますが、通常は、依頼した時点で支払う必要があります。着手金の支払を確認できない限り、実際の業務に着手しないという弁護士も多いです。

一般的に着手金というと弁護士に依頼するとき最初に払うお金くらいにイメージされているかもしれませんが、大事なのは支払うタイミングではなく、「成功・不成功」にかかわらず必要だという点です。

着手金の計算方法とは?

着手金は、通常、「経済的利益の○%」というように割合的に計算されます。

例えば、旧日弁連報酬等基準※だと、次のとおりの割合です。

経済的利益の額 着手金の額
300万円以下の場合 経済的利益の8%
300万円を超え3000万円以下の場合 経済的利益の5%+9万円
3000万円を超え3億円以下の場合 経済的利益の3%+69万円
3億円を超える場合 経済的利益の2%+369万円

※旧日弁連報酬等基準というのは、弁護士報酬の金額が自由化される前に全ての弁護士が利用していた共通基準です。

着手金計算のための経済的利益とは?

着手金を計算するときの「経済的利益」とは何なのでしょうか?

基本的には請求側の場合は、請求額の全額が経済的利益になります。例えば、1,000万円の金銭請求を弁護士に依頼する場合、経済的利益は1,000円ということになります。

請求を受けた側の場合は、ケースによりことなります。基本的には請求されている金額が経済的利益になることが多いですが、不当に請求されている部分だけを経済的利益とすることもあります。

着手金無料方式とは?

着手金・報酬金方式をとっていても、着手金を無料として報酬金だけかかる場合があります。

これは、請求側の事件で、成功の程度は不確定であっても、一程度の成功の可能性は高く、しかも成功した場合には相手から金銭を回収できる可能性も高い事件を依頼する場合に利用されることが多いです。

例えば、相手が自動車保険に加入している場合の交通事故による損害賠償請求、相手が一定規模以上の会社である場合の残業代請求事件などが、着手金無料方式がとられることが多いです。

逆に言えば、依頼する方が請求をされる側の場合であるとか、成功可能性が低い裁判を依頼する場合とか、勝つ可能性は高くても相手に資力がない場合の事件を依頼する場合などには、着手金無料方式がとられることはほとんどありません。

完全成功報酬方式とは?

着手金無料方式は、多くの場合、完全成功報酬方式と同じです。

完全成功報酬方式というのは、依頼した事件が解決したときにだけ弁護士費用が発生する方式です。また、通常成功報酬は、固定金額ではなく、回収できた金額の○%と定められることが多いため、自分の財布から弁護士費用を支払うことなく、弁護士に依頼することが可能となります。

報酬金とは?

報酬金は、成功した場合にその成功の程度に応じて発生する費用です。

報酬金を支払いタイミングも契約で決まりますが、通常は成功したとき、つまり、依頼した事件が解決したときに発生します。

報酬金の計算方法とは?

報酬金も、通常、「経済的利益の○%」というように割合的に計算されます。

例えば、旧日弁連報酬等基準※だと、次のとおりの割合です。

経済的利益の額 報酬金の額
300万円以下の場合 認められた額の16%
300万円を超え3000万円以下の場合 認められた額の10%+18万円
3000万円を超え3億円以下の場合 認められた額の6%+138万円
3億円を超える場合 認められた額の4%+738万円

※旧日弁連報酬等基準というのは、弁護士報酬の金額が自由化される前に全ての弁護士が利用していた共通基準です。

報酬金の経済的利益とは何なのか?

報酬金の経済的利益は、最終的に事件が解決した場合に決まります。例えば、1,000万円の請求を弁護士に依頼した結果、800万円だけ認められた場合には、800万円が請求報酬計算のための経済的利益になります。

この場合、着手金の経済的利益が遡って800万円に減額されることはありません。そのため、着手金計算のための経済的利益は1,000万円、報酬金計算のための経済的利益は800万円と金額が異なります。

一つ注意が必要なのは、裁判を依頼した結果、裁判で勝ったけど、相手にお金がないなどの理由で回収できなかった場合です。

この場合、裁判で認められた金額を経済的利益にするのか、相手から実際に回収した金額を経済的利益にするのかは、弁護士との契約次第ということになります。

着手金・報酬金固定額方式とは?

弁護士に依頼する事件の種類によっては、着手金や報酬金を、経済的利益から計算するのではなく、固定額に設定されることがあります。

例えば、着手金30万円、報酬金30万円というパターンです。弁護士に依頼するときに30万円を払い、その後事件が解決したら30万円払うことになります。

このような固定額になるのは、金銭請求以外の事件の場合(例えば離婚など)か、結果がほとんど予測できる事件を依頼する場合、金銭的には勝ち目のない事件を何らかの理由により依頼する場合などが考えられます。

タイムチャージ(時間制報酬)方式

タイムチャージ方式は、時間制報酬方式とも呼び、弁護士の活動時間によって弁護士費用を決める方式です。

例えば弁護士が1時間仕事をしたら、2万円というパターンです。主に起業が弁護士に依頼するときに使われる方式ですが、個人の方が弁護士費用特約を使って依頼する場合にも使われることがあります。

手数料方式

手数料方式は、弁護士に依頼する際に○円払い、それ以外には弁護士費用がかからない方式です。

単純な手続のみの依頼で、成功・失敗というものが通常考えられない場合に用いられます。例えば、通常の相続放棄を依頼する場合などです。

ABOUT ME
弁護士豊田友矢
豊田 友矢
船橋シーアクト法律事務所の代表弁護士 千葉県弁護士会所属(第49837号) 交通事故・離婚・不貞慰謝料・遺産相続・中小企業法務等の相談を多数取り扱っている。