- 内容証明の弁護士費用の相場が見つからないワケ
- 内容証明だけの依頼が難しい理由とは?
- 内容証明の弁護士費用の相場|安い場合と名義について
内容証明の弁護士費用の相場が見つからないワケ
慰謝料や養育費などを請求するために、弁護士に内容証明を送ってほしいと考えたことはないでしょうか。
そこでやはり気になるのは弁護士費用がいくらかかるのか?ということでしょう。
ところが、インターネットで「内容証明 弁護士費用」などと調べても、実際の弁護士事務所のWebサイトはあまり出てこないはずです。
実は、慰謝料や養育費請求の依頼を受ける弁護士は大勢いますが、内容証明郵便の作成や送付「だけ」の依頼を受ける弁護士はあまりいないのです。そのため、ホームページに内容証明送付単独の弁護士費用を載せている弁護士事務所はほとんどないかと思います。
内容証明だけの依頼が難しい理由とは?
まず、前提として、
- 交渉の依頼の中で内容証明の送付をすることは普通にある
- 弁護士名を入れない文案の作成であれば受ける弁護士もいる
ということです。
あまり受ける弁護士がいないのは、
- 内容証明郵便で送る通知書に弁護士名や連絡先を記入して
しかも
- 交渉の依頼は受けず通知書作成・送付のみを行なう
という内容の依頼です。
では、なぜこのような内容の依頼を弁護士は受けないのでしょうか。
弁護士名義で送ると弁護士宛てに連絡がくるが・・・
弁護士名と連絡先を記載した通知書を相手に送ると、どうなるでしょうか。
そのまま何も言わずに要求どおり払う人ばかりではありません。むしろ、そうではない人の割合の方が多いというのが実感です。
例えば、書いてあることが違うので払わないと言ってくる、様々な理由を付けて減額を求めてくる、書いてあることは間違いないがお金がないので払えないと言ってきたり、分割払いを求めてきたりすることもあります。
このような場合に、単に内容証明の送付だけを依頼していた場合、弁護士としては何らの交渉権限や義務もないので、一切対応ができません。
これでは、依頼者としては何のために依頼したのかわかりません。他方で弁護士としても対応しないにしても相手からの電話には出ないと行けないので労力を要しますので、弁護士費用はそれなりの金額になってしまいます。
作成だけを依頼する意味がどれくらいあるのか?
では、弁護士名を入れないで内容証明を送ってもらう方が良いのでしょうか?
たしかに弁護士名を入れないで内容証明を送る、つまり文書作成業務の依頼を受ける弁護士は多いかと思います。
ただし、依頼する意味がどれくらいあるのかということは考えなければなりません。
内容証明というと、何か特別な法的効力のある文書なのではないかと勘違いしている方も多いですが、実はそんなことはありません。
内容証明というのは単なる郵送方法のオプションに過ぎません。速達や書留などと同じです。内容証明郵便自体には、何らの威圧効果もありません。最近は電子内容証明が主流ですが、無地の定型封筒で届くだけなので、一見内容証明郵便なのかどうかもわかりにくいようになっています。つまり内容証明郵便自体には、その名の通り、送った文書の内容を証明する力しかないのです。
内容証明郵便に事実上の威圧的な効力があったのだとしたら、それは内容証明郵便だからではなく、弁護士名が入っていることによるものでしょう。
そうすると、弁護士名を入れずに内容証明を送っても、自分で直接相手に請求通知を送るのと結果は変わらないことが多いのではないでしょうか。
内容証明の弁護士費用の相場|安い場合と名義について
- よくあるパターン→交渉自体を依頼する
- レアなパターン→弁護士名義で内容証明郵便の作成送付だけ
- 費用が安い場合→本人名義で内容証明郵便の作成・郵送だけ
- 内容証明郵便の実費・料金について
よくあるパターン→交渉自体を依頼する
内容証明郵便の送付だけでなく、慰謝料や養育費請求の交渉自体を依頼する場合です。その交渉業務の一内容として内容証明郵便を送ることも多いでしょう。これが一番よくあるパターンです。この場合、交渉に関する着手金・報酬金を支払えば、内容証明郵便に関する弁護士費用が別にかかることはないのが通常です(郵便料金の実費除く)。
レアなパターン→弁護士名義で内容証明郵便の作成送付だけ
弁護士名義での内容証明の作成・送付だけを依頼して、交渉は依頼しないパターンです。最初に説明したようにこのパターンの依頼を受ける弁護士は少ないかと思います(顧問弁護士であれば別)。
このパターンで依頼することがあり得るとしたら、顧問先企業の債権回収事案、大量の小口債権回収の依頼を受ける場合、個人の場合は貸金業者に対する消滅時効通知を送る場合などが考えられます。
仮に慰謝料や養育費などの金銭請求の内容証明の依頼をする場合には、交渉業務を含まないとしても、交渉業務を依頼した場合の着手金相当額程度はかかることが多いのではないでしょうか。
費用が安い場合→本人名義で内容証明郵便の作成・郵送だけ
本人名義で内容証明郵便を送る場合の文案の作成及び送付作業については、依頼を受ける弁護士もいるかと思います。
貸金返還などの文書が定型的なものでしたら、1通あたり5万円~10万円程度が文案作成と送付作業の相場ではないでしょうか。
内容証明郵便の実費・料金について
弁護士費用とは別に、内容証明郵便を送る際には郵便局へ支払う実費も必要です。
電子内容証明(e内容証明)の料金は、送る枚数や速達などのオプションの有無により多少異なりますが、以下のとおり、約1,500~3,000円程度になります。
内容証明郵便の料金一覧 | |
① 郵便料金 | 110円 |
② 電子郵便料金 | 1枚目19円、2枚目以降1枚ごとに6円 |
③ 内容証明料金 | 1枚目382円、2枚目以降1枚ごとに360円 |
④ 謄本送付料金 | 304円 |
⑤ 一般書留料金 | 480円 |
⑥ 配達証明料金 | 350円 |
⑦ 速達料金 | 300円 |
【参考:郵便局公式サイト「e内容証明(電子内容証明)」より】
通常、配達証明を付けることが多いので、電子内容証明で2枚の文書を送付する場合(速達なし)は、①110円+②25円+③742円+④304円+⑤480円+⑥350円=2,011円かかることになります。
なお、電子内容証明で送付可能な枚数の上限は5枚です。