遺産分割調停の流れ

遺産分割調停とは家庭裁判所で、相続人同士が遺産分割についての話し合いを行うことを言います。

調停は裁判とは違う

調停は裁判所で行いますが、裁判とは全く違うものです。裁判は、主張や証拠を双方が出し戦うものですが、調停はあくまで話し合いにすぎません。
当事者同士では、感情的になったり、何が正しいのかがわからず話がまとまらなかったりすることが多いことから、裁判所で調停委員という人が話し合いの間に入って、相続人間で話し合いがまとまるように手助けをしてくれます。

遺産分割調停はどこの裁判所でやるのか

遺産分割調停は家庭裁判所でやりますが、家庭裁判所は日本全国にたくさんあります。それでは、どこの家庭裁判所で遺産分割調停をすることができるのでしょうか?
遺産分割調停ができる裁判所は、遺産分割調停の相手方の住所地を管轄する家庭裁判所になります。
そのため、相続人同士がそれぞれ離れた地域に住んでいる場合には、申し立てる側がどちらの相続人になるかによって調停を行う裁判所が変わることになります。

遺産分割審判を申し立てても調停に付されることがほとんど

遺産分割の審判を最初から申し立てることもできますが、裁判所の職権により調停に付されることがほとんどです。
調停が不成立になれば、自動的に審判へ移行します。
審判を行う裁判所は、原則として相続開始地を管轄する裁判所なので、調停が別の裁判所で行われていた場合には、原則通り相続開始地の裁判所に移送するか、例外的に調停をしていた裁判所で審判も行う(これを自庁処理といいます)かを決めることになります。

遺産分割調停に相続人以外は参加できない

遺産分割協議では事実上、相続人の配偶者や子供など、相続人ではない者が協議に事実上参加して口を出すことも多いです。
しかしながら、遺産分割調停は、裁判所内の調停室という部屋で行われますが、そこに相続人と代理人弁護士以外の人は入ることはできません。ただし、相続人が高齢等で上手く付添が必要な場合などは親族の方の入室が認められることもあります。

裁判所が相続人の嘘を暴いたり隠し財産を探したりしてくれることはない

裁判所は調停で誰が正しいとか、誰が嘘をついているとかを明らかにしたり、隠し財産がないかどうかを探したりしてくれることは一切ありません。
調停の主役は相続人自身であり、裁判所は話し合いのサポートをしてくれるに過ぎません。相手が嘘をついていると考えるのであれば嘘であることを明らかである証拠を出す必要がありますし、隠し財産は自分で探さなければなりません。
このようなことを裁判所がしてくれると期待して調停に参加した方はがっかりするかもしれませんが、仕方ないことなのです。

遺産分割調停の流れ

調停のはじめに

まずは、原則として相続人全員が調停室に呼ばれます。そこで、調停委員から簡単な自己紹介がされ、相続人全員の本人確認がなされます。
その後調停委員から、遺産分割手続の手順について説明がなされます。

調停で話し合う内容

そして、遺産分割調停は、

  1. 相続人の範囲
  2. 遺言書・遺産分割協議書の有無・有効性
  3. 遺産の範囲
  4. 遺産の評価
  5. 各相続人の取得額(特別受益・寄与分)の確定
  6. 遺産の分割方法の調整

という順番で進められます。
遺産分割調停をスムーズに進めるために、この順番はかなり厳格に守られています。そのため、特別受益や寄与分の主張を早くしたいと思っても、それは④の段階まで進んだ後でないとすることはできません。

このうち①から③は、前提問題と呼ばれるものであり、この段階で争いがあり話し合いがまとまらない場合には、④に進むことができないため、遺産分割調停は中止して、①から③の争いについて別の裁判で先に決着をつけることになります。

それでは①から⑥まで具体的にどのようなことが問題になるのかについて見ていきます。

①相続人の範囲

養子縁組や結婚が無効である、隠し子がいるなどの主張が出た場合には相続人の範囲が問題となります。
この点について話し合いがまとまらない場合には、裁判で誰が相続人であるかを確定する必要があります。
もっとも、この点で争いになるケースは割合的にはかなり少なく、多くの場合は、この①については、簡単に確認するか、そもそも問題として取り上げずに終了します。

②遺言書・遺産分割協議書の有無・有効性

全ての遺産について分け方が書かれた遺言書や遺産分割協議書がある場合には、原則として遺産分割を行う必要がなくなります。そのため、遺産分割調停を行うこと必要も本来はないはずです。しかし、実際は、遺言書や遺産分割協議書があっても、一部の相続人がその有効性に疑問を持っている場合には、分割手続がスムーズに進まず、話し合いのために、あえて遺産分割調停が申し立てられることがあります。
ただし、遺産分割調停では遺言や遺産分割協議書の有効性について判断してもらうことはできません。そのため、遺言書や遺産分割協議書の有効または無効が決まらなければ、遺産の分け方について話し合いができないような状況である場合には、別途遺言無効確認訴訟や、遺産分割協議無効確認訴訟等を行うことになります。

③遺産の範囲

亡くなった人名義の財産ではあるが、その財産は本当は別の人のものであるとか、逆に亡くなった人以外の名義の財産であるが、その財産は本当は亡くなった人の財産であるというような主張がなされた場合、遺産の範囲について争いが生じます。
この点についても、遺産分割調停や審判では判断してもらえないため、遺産の範囲について話し合いがまとまらないのであれば、別途遺産確認訴訟を行う必要があります。

④遺産の評価

①から③に争いがない場合には、遺産の評価を行うことになります。預金や現金であれば評価は不要ですが、不動産や株式などの有価証券の場合はそれがいくらの価値があるのかを決める必要があります。
特に不動産については、その価格について相続人によって主張する金額が異なることも珍しくなく争いになりやすいです。

⑤各相続人の取得額(特別受益・寄与分)の確定

遺産の評価について話がまとまった場合には、特別受益や寄与分があるかどうかについて話し合った上で、それぞれの相続分を決定します。

⑥遺産の分割方法の調整

相続人ごとの相続分が決まった場合には、誰がどの財産を取得するかについて話し合います。全てが預金と現金の場合は、単純にそれぞれの相続分に応じてお金を受け取れば良いですが、不動産などが有る場合、不動産は売却するのか、それとも不動産は売らずに相続人の誰かが取得するのか、等を決めることになります。理論的にはこの⑥遺産分割方法は最後に話し合うものですが、④遺産の評価とも関連するので、事実上④の話し合いをするときに⑥遺産分割方法についてもある程度決まっていることが多いです。

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