離婚原因

家事をしない夫or妻と離婚できるのか?

家事をしない夫or妻と離婚できる

家事をしない夫or妻と離婚したい!

配偶者が家事を一切してくれないなどの理由で、離婚したいと考える方は多いです。

近年は、共働き家庭の割合は7割近くとなっており(厚生労働省:「令和2年版 厚生労働白書」)、家事を配偶者の一方のみが行うのでは負担が重くなってしまいます。

そのため、近年は配偶者が家事に協力してくれないという不満が高まっています。

また、専業主婦or主夫が全く家事をしないというケースもあります。この場合は、仕事を終えた後、家事も全て自分でしなければならないという重い負担から、相手への不満がより一層高まります。

家事をしないことが原因で離婚できるのか?

離婚には大きく分けて、協議離婚、調停離婚、裁判離婚の3種類があります。

このうち協議離婚と調停離婚は、夫婦の合意によって離婚が成立します。

そのため、離婚の合意さえできれば、どんな離婚原因であっても離婚ができるのです。

家事をしないことが原因でも、夫婦の合意によって離婚をすることは可能ということになります。

なので、家事をしないことが理由で離婚したい場合には、まずは夫婦の話し合いで離婚の合意を目指すのが重要です。

相手が離婚に応じない場合でも離婚できるか?

どんなに話し合いをしても、相手が離婚に応じない場合は、裁判で離婚を求めるほかありません。

裁判では、相手が離婚に応じなくても、法律上の離婚原因があれば、強制的に離婚することができるからです。

この法律上の離婚原因とは、次のようなものです。

  1. 配偶者に不貞な行為があったとき
  2. 配偶者から悪意で遺棄されたとき
  3. 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
  4. 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
  5. その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき

家事をしないことが1~4にあたることはありません。

では、5の「婚姻を継続しがたい重大な事由」にあたるのでしょうか?

家事をしないことだけで裁判離婚が認められることはほぼない

結論から言うと、家事をしないことだけで「婚姻を継続しがたい重大な事由」にあたると認定されることはまずありません。

「婚姻を継続しがたい重大な事由」が認められるためには、裁判官から見て、この夫婦が婚姻関係を継続することはありえない、夫婦関係が改善することはあり得ないと考えることが必要です。

ところが、単に家事をしないだけであれば、今後話し合いで家事の分担に応じる可能性もあるし、そもそも夫婦の一方だけが家事をしていても婚姻関係は継続可能(事実としてそのような円満な夫婦もいるので)だと捉えられる可能性が高いからです。

家事をしないという主張は離婚裁判では意味がないのか?

家事をしないだけでは離婚できないのであれば、別居をした上で、ある程度別居期間が過ぎてから、離婚裁判をする必要があります。

このある程度の別居期間というのには決まりがありません。結局ここも裁判官が、「この夫婦がやり直す可能性はまずない」と考えるかどうかです。

そうすると、別居前の夫婦間の関係性や別居の理由によって、どの程度別居期間が必要なのかが変わってきます。

家事をしないと言うことが原因で、どうしても一緒に生活できずにやむを得ず別居したということが認められれば、単に性格の不一致で別居した場合よりも、短い別居期間で離婚が認められる可能性があります。

また、家事をしない程度も問題になってきます。ちょっと家事が下手で不十分というくらいでは、必要な別居期間が短くなることはないでしょう。

逆に、家がゴミ屋敷のようにぐちゃぐちゃで、家事をしている方がどんなに掃除をしてもまたすぐにぐちゃぐちゃな状態になってしまういというのであれば、別居の原因が家事をしない方にあると認められるでしょう。そうすると、必要な別居期間が短くなる可能性があります。

家事をしないことをどうやって証明するのか?

家事をしないということだけを、いくら口頭で主張しても、裁判官や調停委員など第三者にはイメージがわきません。

むしろ、「家事をしろ」とうるさい人だなと思われてしまう可能性すらあります。

ですので、「相手が家事をしない」ということを主張するのであれば、具体的に自分しか行っていない家事の内容を全て書き出すのが良いでしょう。また、単に家事をしないだけでなく相手が家を散らかすのであれば、その状態の写真を撮影して提出するのも一つの方法です。

ABOUT ME
弁護士 豊田 友矢
千葉県船橋市の船橋シーアクト法律事務所の代表弁護士 離婚・不貞慰謝料・遺産相続・交通事故・中小企業法務等の相談を多数取り扱っている。