養育費をあとから請求されることはあるのか?
養育費を支払っていない状態が続いていたのに、あとになって養育費を請求されることは、結構あります。
このように、あとから養育費を請求されるのには、大きく分けて次の3パターンがあります。
まず、1つ目は、離婚時に養育費の取り決めをしたが、途中から支払いをしなくなっていたパターンです。
次に、2つ目のパターンは、離婚時には養育費の取り決めをしていなかったが、あとからやっぱり養育費を払ってほしいといわれるパターンです。
最後に3つ目のパターンは、養育費を支払っていないことにちゃんとした理由があったのに、それでもあとから養育費を請求されてしまったパターンです。
この3つのパターンは似ているように見えて、対処法、手続の種類、無視した場合のリスク、遡って請求できるかなどが違ってきますので、混同しないようにしましょう。
パターン①取り決めた養育費を滞納していた場合
これは、離婚時に養育費の金額を取り決めていたが、途中から滞納していたというパターンです。
この場合、例えば、支払いを止めてから数年経って、あとからまとめて滞納分の養育費を請求されることがあります。
養育費の滞納期間がかさむと、毎月の支払いは数万円であったものが、数十万、数百万円請求されることもあります。
まずは、メール・電話・手紙などで支払いを求められることもありますが、養育費の取り決めを公正証書や調停調書でしていた場合、いきなり給料や預貯金を差し押えられることも珍しくありません。
この場合は、手遅れになることがほとんどです。もし、収入減少など養育費の支払が困難になる状況に陥ったら、その時点で養育費の減額などを求める手続をしておかないと、あとになってまとめて差し押えられてしまう危険があるのです。
パターン②離婚時に養育費の取り決めをしていない場合
これは、離婚時には離婚届を出すだけで、養育費については何の取り決めもしていなかった場合です。
この場合、離婚後、養育費を払っていないケースがかなり多いかと思います。ところが、離婚後しばらくたって、あとから養育費の支払を求められるケースは珍しくありません。
この場合、請求したときからの分を請求されるケースが多いと思いますが、離婚時から分もまとめて遡って請求されるケースもあります。
例えば、離婚から3年後にやっぱり養育費を払ってほしいと請求されたときに、今後は月●円払ってほしいといわれるだけでなく、離婚時から請求時までの月●円×36ヶ月分も請求されることもあるのです。
もちろん、子供のために離婚してからの分を遡って支払っても良いですが、基本的には請求されたときからの分を支払えば問題ありません。
なお、このパターンは養育費の取り決めをしていなかった場合なので、いきなり給料や預貯金の差し押さえがされることはありません。
まずは、養育費請求の連絡が来るか、養育費請求調停が申し立てられることになるでしょう。
パターン③養育費を支払わない理由があった場合
例えば、離婚時に一括で養育費を支払うことにより、離婚後の毎月養育費の支払はしていなかった場合です。
他にも、離婚時に夫婦間の話し合いによって養育費を請求しない旨の合意をした場合でなどもあります。
このように養育費はもういらないということで離婚時に合意していたにもかかわらず、あとになって請求が来ることもないとはいえません。
この場合、あとになって請求することに特別の理由がない限りは、養育費の請求は認められません。