養育費は女性(母親)が払うこともある!
養育費といえば男性(父親)が払うものであるというイメージが強いかとは思います。
たしかに男性(父親)が養育費を払う必要があることの方が割合的には多いですが、女性(母親)が養育費を払うこともあります。
養育費をどっちが払うかというのは、性別によって決まるものではなく、あくまでどちらが子どもを監護しているかということで決まります。
養育費=男性が払うものというのは完全な誤解ということになります。
どのような場合に女性が養育費を払うのか?
どのような場合に、女性が養育費を払うのでしょうか?
養育費というのは、子どもと別居している親が扶養義務を果たすために、子どもと同居して実際の監護をしている親に払うものです。
ですので、まず男性(父親)が子どもを監護していること、つまり親権者となっていることが条件となります。
令和4年人口動態統によると、2022年に離婚した夫婦について、子ども1人の夫婦では約12%の割合で男性(父親)が親権者となったとされています。(令和4年人口動態統計上巻 離婚 第10.11表 親権を行う子をもつ夫妻の親権を行う子の数・親権者(夫-妻)別にみた年次別離婚件数及び百分率)
この12%の父親は、母親に対して養育費を請求できる可能性があることになります。
浮気と養育費を誰が払うかは無関係
たまに女性である妻が浮気したから、妻が養育費を払わないといけないと考えている人がいますがこれは間違いです。
浮気で離婚になれば、浮気をした側は慰謝料を払う必要がでてきますが、養育費と慰謝料は全く関係ありません。
男性と女性のどっちが浮気したとしても、養育費はあくまで子どもの監護をしていない方が払うことになります。
ただし、妻が浮気をしたことにより離婚になる場合で、双方の合意のもと夫を親権者とすることは結構あります。正確な統計はないのでわかりませんが、やはり妻の浮気が原因で離婚に至ったケースの方が、性格の不一致などで離婚するケースよりも、父親が親権を取得する割合は多い印象です。
そのため、妻の浮気による離婚が、結果的に妻が養育費を払う状況になるということはあります。
母親が専業主婦だった場合はどうか?
養育費は単に子どもを監護しているだけでは請求できません。
相手に収入または稼働能力がある必要があります。
例えば専業主婦だった母親に養育費を請求するのは、当面の間は難しいでしょう。
収入0円であれば、養育費を支払うことはできないですし、長年生業主婦をしていた場合には直ぐに一定以上の収入を稼ぐことは難しいからです。
養育費算定表だと、例えば14歳以下の子ども1人の場合の養育費は、養育費を払う側の収入が125万円筏と、養育費の金額が0万~1万となっています。
そのため、女性(母親)が養育費を払うのは、もともと共働きだった場合や、離婚後にフルタイムで働き始めた場合など、一定以上の収入がある場合といえます。
女性が払う養育費の相場とは?
女性が養育費を払う場合も、養育費の金額は払う側ともらう側の年収によって大きく変わってきます。
統計上、現代日本では女性よりも男性の年収の方が高いので、夫が専業主夫だった家庭や、共働きで妻の方が年収が高かった場合を除いては、養育費を払う側である女性の方が年収が低くなることは珍しくありません。
このように養育費を払う側の方が年収が低くとも、養育費を支払う義務はあります。
ただし、具体的な金額は、あくまで払う側の年収をベースに算定されるので、例えば元夫が高収入で、子どもに高額の教育費用をかけていたとしても、払う側が低収入であれば養育費の金額も低くなります。
女性が払う養育費の具体例
父親が親権をとって子どもを育てている場合に、女性である母親が養育費を払う具体的なケースを紹介します。
子ども1人(小学生)、母親年収300万のケース
離婚して父親が親権を取得しました。子どもはまだ小学生ですが、父の両親が子どもの世話をしており、父親はこれまで通りフルタイムで働いています。
父親の年収は700万円、母親は300万円だとします。
このケースで、母親が払う養育費の相場は、算定表によると月2万円程度となります。
ちなみに、このケースで仮に父親の年収が300万円程度でも、1000万円あったとしも、母親の年収が300万円であれば、相場は月2万円となります。
子ども2人(小学生途中学生)、共働き双方年収1000万のケース
共働きで父親も母親も年収1000万円程度ある家庭も、現代では必ずしも珍しくありません。
このような、夫婦双方高収入の場合、女性である母親が払う養育費の金額もそれなりの金額になります。
今回のケースで、月10万円程度が母親が父親に払う養育費の相場となります。